Martin LightJockey 後継 / 限定公開 / 2026-09-07

今後の開発方向 概論

開発から42日|方針の概論

制作機を 2 つの系統に分けます。ひとつは旧 LightJockey 2.7 と同じデータで往復できることを最優先に守る系統、 もうひとつは器具の型を業界標準(GDTF)に置き換えて上限を外し、3D 表示は外部のビジュアライザを借りる系統です。 なぜ分けるのか・それぞれ何を守るのか・どの順で進めるのかを、この 1 枚にまとめました。

互換路線 —— LjStudio
旧 LJ 2.7 で開いて再生できることを守るいまの制作機そのもの。1 ライブラリ 100 台・2,048 アドレスの決まりは越えない
複合路線 —— 仮称 LjFusion
GDTF+MVR で表現し、上限を外す別のアプリとして作る。旧 LJ へは「焼いて」渡す。3D は grandMA3 onPC を借りる
共通の土台
読み書き・再生・演出の計算は 1 本のまま分かれるのは「器具の型」「上限」「画面」の 3 つだけ
変わらないこと
現場の運用・配布・既存のライブラリいま使っているものは、そのまま使えます

01なぜ 2 つに分けるのか

きっかけは「器具は何台まで置けるのか」という問いでした。数えてみると、答えは旧ソフトのファイル形式そのものに書いてありました。

100 台1 ライブラリに置ける器具の数
(旧 LJ 2.7 のパッチ表が 100 台ぶんの固定長)
32 ch器具 1 台が持てるチャンネル数の上限
2,048DMX アドレスの総数
(4 リンク × 512)
64 台で 512 画素画素を「まとめて」1 台 8 画素にした実例
(100 台のうち 36 台ぶんが余る)
事実

「まとめる」だけで枠は大きく空く

LED の壁を「1 画素 = 1 器具」で敷くと 100 画素で台数が尽きますが、1 台に 8 画素を詰めれば同じ壁が 12 台で済みます。これは机上の話ではなく、社内の検証用ライブラリで実際にそうやって動いています。

限界

しかし 3D 表示では「1 台 = 1 点」になる

いまの内蔵ビジュアライザは器具 1 台に 3D の位置を 1 つしか持てません。8 画素をまとめた器具は、8 色の平均を 1 点で光らせる絵になります。壁の演出を 1 画素ずつ見せたいデモには向きません。

結論

「1 台の中に多くの画素がある」という器具の型が要る——それは旧 LJ 2.7 には無い

業界標準の器具記述 GDTF には、その形(サブフィクスチャ)があります。ただし旧 LJ 2.7 は GDTF を読めません。これを今の制作機に入れると「LjStudio で作ったのに旧 LJ で開けない」データが混ざり、互換を守る約束が崩れます。

守るものが違うものは、入れ物を分ける。互換を守る側(旧 LJ で開けることが最優先)と、上限を外す側(標準形式で表現できることが最優先)を、別のアプリにします。 共通の部品は 1 本のまま共有するので、二重に作るわけではありません。

02互換路線 —— LjStudio

いまの制作機です。ここは方針を変えません。むしろ「やらないこと」をはっきりさせて、互換の約束を守りやすくします。

観点互換路線 —— LjStudio複合路線 —— 仮称 LjFusion
最優先で守ること書いたライブラリを旧 LJ 2.7 の実機が開いて再生できるリグと器具の型が GDTF+MVR で他社ツールに渡る
器具の型旧 LJ のプロファイル。100 台・32ch・2,048 アドレスは越えないGDTF(1 台に多画素)。上限は別に設計(目安: 8 ユニバース・器具 1,000 台)
データの正旧 LJ の形式そのもの(パッチ表・Sequence・Cue・Cue List)新しいプロジェクト形式。旧 LJ の形式は書き出し先の 1 つ
旧 LJ との互換読める・開いて再生できる・同じ操作で同じ結果(従来どおり)読める+焼ける(上限に収まるときだけ。収まらなければ何を落としたかの表を出す)。操作の互換は求めない
再生機旧 LJ 2.7 実機/Linux 再生機 LjRun(ライブラリを直接読む)LjRun(タイムテーブル)/grandMA3 へは MVR+GDTF で移す/旧 LJ へは焼いて
3D 表示内蔵の軽いビジュアライザ(「重い外部ソフトは要らない」という 8 月末の判断のまま)grandMA3 onPC を外部で使う(第 04 節)
画面旧 LJ の画面をそのまま再現独自でよい。互換路線の画面部品を共有できるものは共有

続けるいま進めている計画はそのまま

「押せる・書ける」を完成させる作業、Linux 再生機を現場に置ける箱にする作業、データ配信と版管理の整備は、 先の公開計画のとおりに進めます。未完成の部分は、実際のショーデータに残った痕跡を数えて使われている順に手を付けます。

やらない互換路線で新たに「やらない」と決めたこと

代わりに、「まとめる」敷き方の手引きを取扱説明書に書きます(1 台 8 画素にする方法と、3D では平均色になる注意)。 「マトリクス LED の敷き方と操作」の頁に、その入口を足してあります。

03複合路線 —— 仮称 LjFusion

旧 LJ との互換を「読める・焼ける」に絞り、その分だけ自由に拡張する系統です。名前は仮称で、正式名は別途決めます。

拡張最初に入れる拡張は 4 つだけ

多くを並べません。互換路線では原理的にできず、こちらでなら素直にできるものだけです。

E-1

1 台の器具に多くの画素。LED の壁を、1 画素ずつ 3D に光らせる。

GDTF のサブフィクスチャで表現します。互換路線では「1 台 = 1 点」で平均色になる箇所です。
E-2

上限を外す。器具 100 台・2,048 アドレスの枠を越える構成を扱える。

パッチ表を旧 LJ の固定長から切り離します。上限の設計値は目安として 8 ユニバース・器具 1,000 台。
E-3

16bit と滑らかなフェードを、そのまま。

旧 LJ は 8bit 保持+直線補間なので、互換路線では折れ線で近似しています。再生機側には 16bit の補間が既に入っているので、こちらではそれを出口にします。
E-4

他社ツールとの往復。リグと器具の型を MVR+GDTF で渡す。

いまは位置と向きしか渡せません(器具の型が GDTF ではないため)。これは「器具リプレース支援」の土台と同じものです。

互換旧 LJ との関係は「読める・焼ける」

別のアプリにする理由——同じアプリに「拡張モード」を足す案も検討しましたが、採りません。 いま開いているデータが旧 LJ で再生できるのかが画面から分からなくなり、現場での取り違えを招くからです。 LjStudio で保存できたものは旧 LJ で開ける、が入れ物の違いで自然に守られる形にします。 読み書き・再生・演出計算の部品は両方が同じものを使うので、二重に作るわけではありません。

043D 表示は「借りる」

複合路線ではビジュアライザを自作しません。無償で使える grandMA3 onPC の 3D を、標準形式のデータと Art-Net で使います。

確認済み

onPC はハードウェア無しで 4,096 パラメータまで扱える

公式のクイックスタートに明記されています。こちらの出力は最大でも 2,048 アドレスなので、枠の中に収まります。

確認済み

Art-Net を「入力」として受け、指定した universe にマージできる

Art-Net 設定の Mode に Input があり、Merge Mode と Input Priority を持ちます(公式ヘルプ)。MVR の読み込みも公式に対応しています。

未確認

マージした入力が 3D 表示に映るか——公式資料に記載が無い

ここが要です。文書で断定できないので、最初に実機で 3 件を測ってから着手します(第 05 節の「最初」)。

経路通ったときの形

「重い外部ソフトは要らない」という 8 月末の判断とは矛盾しません。互換路線は軽い内蔵 3D のままで、複合路線だけが重い方を外に置きます。

退路通らなかったとき

05進める順序(日付は書きません)

順序だけを約束します。「最初」が通るまで、その先には着手しません。

互換路線いまの計画のまま。「押せる・書ける」の完成を、使われている順に
複合路線まず実測 3 件。通ってから器具の型 → 上限 → 焼き → 画面 → 現場
共通読み書き・再生・演出計算は 1 本。片方のために意味を変えない
段 0最初

実測 3 件(コードは書かない)

① onPC の Art-Net 入力が 3D に映るか ② こちらの MVR を onPC が読んで位置・向きが合うか ③ 本物の GDTF を 1 本作って、96 画素の壁が画素単位に光るか。

済の条件: 3 件とも「通った/通らない/数字」で記録が残っている。
段 1次

器具の型を GDTF に

GDTF の読み書き。旧 LJ のプロファイルから GDTF への変換は分かっている属性だけを書き、生成元を明記して原本を装わない。MVR に器具の型を同梱して完全体にする。

済の条件: 検証用の 2 ライブラリが、型ごと onPC に通る。
段 2その次

上限を外し、演出計算を画素単位に

パッチ表を独自の形に。LED の壁を GDTF のサブフィクスチャから組み、16bit・フェードは再生機の既存実装を出口にする。

済の条件: 96 画素の壁を 12 台の GDTF 器具で表現し、onPC の 3D で画素単位に同じ演出が出る。
段 3その次

旧 LJ との往復(読める・焼ける)

読みは既存の読み手。焼きは上限に収まるときだけ、収まらなければ縮退の表を出す。

済の条件: 焼いたものを旧 LJ 2.7 の実機で開いて再生できる。
段 4その次

複合路線のアプリ(画面)

プロジェクトの開閉/MVR・GDTF の入出力/上限のないパッチ表/Cue の再生/onPC 連携。互換路線の画面部品を共有できるものは共有し、専用に作るのは最小限。

済の条件: 段 0〜3 の内容が、画面から一通り操作できる。
段 5最後

現場へ

Linux 再生機とマイコン機で再生。配布と版管理は互換路線と同じ仕組みを別名で使う。

済の条件: 電源投入 → 長時間連続 → スタート信号で走る(再生機の計画と同じ条件)。

直近は「互換路線の押せる・書ける」と「複合路線の段 0」だけを並行します。段 1 以降の配分は、段 0 の結果を見てから決めます。

06変わらないこと・やらないこと

変わらないいま使っているものは、そのまま

やらないこと理由
grandMA3 で演出を作る複合路線は制作機を持ちます。grandMA は「見る先」「移す先」であって、卓の操作体系まで背負いません
中身の伴わない GDTF を出す8 月末の方針のまま。出すなら中身を伴って出します(自分の器具の型を自分で書くのは偽物ではありません)
LjStudio に上限超えを入れる互換の約束が守れなくなります(第 01 節)
旧 LJ 付属ビジュアライザの内部呼び出し8 月末に不採用と決めたままです
日付の約束順序と作業単位の目安だけを示します
複合路線での操作互換画面は独自でよい。互換路線が背負います

07決まったこと・まだ決めていないこと

決定2026-09-07 に決まったこと

1

制作機を 2 系統に分ける

互換路線(LjStudio)と複合路線(仮称 LjFusion)。別のアプリにし、共通部品は 1 本。

2

複合路線の 3D は grandMA3 onPC を借りる

ただし実測 3 件が通ることが条件。通らなければ内蔵のテクスチャ方式へ戻す。

3

複合路線の上限の目安

8 ユニバース(4,096 アドレス)・器具 1,000 台。最初の 2 段は今の 4 ユニバースのまま進める。

4

最初の対象データ

配布中のデモ(ムービング 4 台+LED 壁 96 画素)の壁を GDTF にするところから。会場のデータは使わない。

5

直近の配分

互換路線の「押せる・書ける」と、複合路線の段 0 だけを並行。

未決まだ決めていないこと

08用語

用語意味
GDTFGeneral Device Type Format。照明器具の「型」(チャンネルの並び・可動範囲・形状)を記述する業界標準のファイル形式。卓やビジュアライザの多くが読める
MVRMy Virtual Rig。現場の器具配置(位置・向き・アドレス)を GDTF とともに受け渡す形式。grandMA・Vectorworks・Capture などと往復できる
サブフィクスチャGDTF で、1 台の器具の中にある個別に制御できる部分(LED バーの 1 画素など)。「1 台に多画素」を標準の形で表現できる
ユニバース/リンクDMX の 512 アドレスのまとまり。旧 LJ は 4 リンク(2,048 アドレス)。Art-Net では universe と呼ぶ
Art-NetDMX を LAN で運ぶ規格。制作機・再生機の出力と、onPC の入力がこれで繋がる
焼く複合路線のショーを、旧 LJ 2.7 が読める形式(パッチ表・Sequence・Cue)に書き出すこと。旧 LJ の実機で再生できる
縮退焼くときに上限へ収めるために落とすもの(画素をまとめる・器具を外す・16bit を 8bit に)。何を落としたかは表で示す
grandMA3 onPCMA Lighting の卓ソフトの PC 版。無償で 4,096 パラメータまで扱え、3D 表示と MVR の読み込みを持つ

参考: grandMA3 help — Network and How to Output DMX/ grandMA3 help — Art-Net Menu/ GDTF 公式サイト。 関連する公開ページ: 開発進捗と計画/ 器具リプレース支援/ マトリクス LED の敷き方と操作。