Martin LightJockey 後継 / 限定公開 / 2026-09-07
開発から42日|方針の概論
制作機を 2 つの系統に分けます。ひとつは旧 LightJockey 2.7 と同じデータで往復できることを最優先に守る系統、 もうひとつは器具の型を業界標準(GDTF)に置き換えて上限を外し、3D 表示は外部のビジュアライザを借りる系統です。 なぜ分けるのか・それぞれ何を守るのか・どの順で進めるのかを、この 1 枚にまとめました。
きっかけは「器具は何台まで置けるのか」という問いでした。数えてみると、答えは旧ソフトのファイル形式そのものに書いてありました。
LED の壁を「1 画素 = 1 器具」で敷くと 100 画素で台数が尽きますが、1 台に 8 画素を詰めれば同じ壁が 12 台で済みます。これは机上の話ではなく、社内の検証用ライブラリで実際にそうやって動いています。
いまの内蔵ビジュアライザは器具 1 台に 3D の位置を 1 つしか持てません。8 画素をまとめた器具は、8 色の平均を 1 点で光らせる絵になります。壁の演出を 1 画素ずつ見せたいデモには向きません。
業界標準の器具記述 GDTF には、その形(サブフィクスチャ)があります。ただし旧 LJ 2.7 は GDTF を読めません。これを今の制作機に入れると「LjStudio で作ったのに旧 LJ で開けない」データが混ざり、互換を守る約束が崩れます。
守るものが違うものは、入れ物を分ける。互換を守る側(旧 LJ で開けることが最優先)と、上限を外す側(標準形式で表現できることが最優先)を、別のアプリにします。 共通の部品は 1 本のまま共有するので、二重に作るわけではありません。
いまの制作機です。ここは方針を変えません。むしろ「やらないこと」をはっきりさせて、互換の約束を守りやすくします。
| 観点 | 互換路線 —— LjStudio | 複合路線 —— 仮称 LjFusion |
|---|---|---|
| 最優先で守ること | 書いたライブラリを旧 LJ 2.7 の実機が開いて再生できる | リグと器具の型が GDTF+MVR で他社ツールに渡る |
| 器具の型 | 旧 LJ のプロファイル。100 台・32ch・2,048 アドレスは越えない | GDTF(1 台に多画素)。上限は別に設計(目安: 8 ユニバース・器具 1,000 台) |
| データの正 | 旧 LJ の形式そのもの(パッチ表・Sequence・Cue・Cue List) | 新しいプロジェクト形式。旧 LJ の形式は書き出し先の 1 つ |
| 旧 LJ との互換 | 読める・開いて再生できる・同じ操作で同じ結果(従来どおり) | 読める+焼ける(上限に収まるときだけ。収まらなければ何を落としたかの表を出す)。操作の互換は求めない |
| 再生機 | 旧 LJ 2.7 実機/Linux 再生機 LjRun(ライブラリを直接読む) | LjRun(タイムテーブル)/grandMA3 へは MVR+GDTF で移す/旧 LJ へは焼いて |
| 3D 表示 | 内蔵の軽いビジュアライザ(「重い外部ソフトは要らない」という 8 月末の判断のまま) | grandMA3 onPC を外部で使う(第 04 節) |
| 画面 | 旧 LJ の画面をそのまま再現 | 独自でよい。互換路線の画面部品を共有できるものは共有 |
「押せる・書ける」を完成させる作業、Linux 再生機を現場に置ける箱にする作業、データ配信と版管理の整備は、 先の公開計画のとおりに進めます。未完成の部分は、実際のショーデータに残った痕跡を数えて使われている順に手を付けます。
代わりに、「まとめる」敷き方の手引きを取扱説明書に書きます(1 台 8 画素にする方法と、3D では平均色になる注意)。 「マトリクス LED の敷き方と操作」の頁に、その入口を足してあります。
旧 LJ との互換を「読める・焼ける」に絞り、その分だけ自由に拡張する系統です。名前は仮称で、正式名は別途決めます。
多くを並べません。互換路線では原理的にできず、こちらでなら素直にできるものだけです。
1 台の器具に多くの画素。LED の壁を、1 画素ずつ 3D に光らせる。
GDTF のサブフィクスチャで表現します。互換路線では「1 台 = 1 点」で平均色になる箇所です。上限を外す。器具 100 台・2,048 アドレスの枠を越える構成を扱える。
パッチ表を旧 LJ の固定長から切り離します。上限の設計値は目安として 8 ユニバース・器具 1,000 台。16bit と滑らかなフェードを、そのまま。
旧 LJ は 8bit 保持+直線補間なので、互換路線では折れ線で近似しています。再生機側には 16bit の補間が既に入っているので、こちらではそれを出口にします。他社ツールとの往復。リグと器具の型を MVR+GDTF で渡す。
いまは位置と向きしか渡せません(器具の型が GDTF ではないため)。これは「器具リプレース支援」の土台と同じものです。別のアプリにする理由——同じアプリに「拡張モード」を足す案も検討しましたが、採りません。 いま開いているデータが旧 LJ で再生できるのかが画面から分からなくなり、現場での取り違えを招くからです。 LjStudio で保存できたものは旧 LJ で開ける、が入れ物の違いで自然に守られる形にします。 読み書き・再生・演出計算の部品は両方が同じものを使うので、二重に作るわけではありません。
複合路線ではビジュアライザを自作しません。無償で使える grandMA3 onPC の 3D を、標準形式のデータと Art-Net で使います。
公式のクイックスタートに明記されています。こちらの出力は最大でも 2,048 アドレスなので、枠の中に収まります。
Art-Net 設定の Mode に Input があり、Merge Mode と Input Priority を持ちます(公式ヘルプ)。MVR の読み込みも公式に対応しています。
ここが要です。文書で断定できないので、最初に実機で 3 件を測ってから着手します(第 05 節の「最初」)。
「重い外部ソフトは要らない」という 8 月末の判断とは矛盾しません。互換路線は軽い内蔵 3D のままで、複合路線だけが重い方を外に置きます。
順序だけを約束します。「最初」が通るまで、その先には着手しません。
① onPC の Art-Net 入力が 3D に映るか ② こちらの MVR を onPC が読んで位置・向きが合うか ③ 本物の GDTF を 1 本作って、96 画素の壁が画素単位に光るか。
GDTF の読み書き。旧 LJ のプロファイルから GDTF への変換は分かっている属性だけを書き、生成元を明記して原本を装わない。MVR に器具の型を同梱して完全体にする。
パッチ表を独自の形に。LED の壁を GDTF のサブフィクスチャから組み、16bit・フェードは再生機の既存実装を出口にする。
読みは既存の読み手。焼きは上限に収まるときだけ、収まらなければ縮退の表を出す。
プロジェクトの開閉/MVR・GDTF の入出力/上限のないパッチ表/Cue の再生/onPC 連携。互換路線の画面部品を共有できるものは共有し、専用に作るのは最小限。
Linux 再生機とマイコン機で再生。配布と版管理は互換路線と同じ仕組みを別名で使う。
直近は「互換路線の押せる・書ける」と「複合路線の段 0」だけを並行します。段 1 以降の配分は、段 0 の結果を見てから決めます。
| やらないこと | 理由 |
|---|---|
| grandMA3 で演出を作る | 複合路線は制作機を持ちます。grandMA は「見る先」「移す先」であって、卓の操作体系まで背負いません |
| 中身の伴わない GDTF を出す | 8 月末の方針のまま。出すなら中身を伴って出します(自分の器具の型を自分で書くのは偽物ではありません) |
| LjStudio に上限超えを入れる | 互換の約束が守れなくなります(第 01 節) |
| 旧 LJ 付属ビジュアライザの内部呼び出し | 8 月末に不採用と決めたままです |
| 日付の約束 | 順序と作業単位の目安だけを示します |
| 複合路線での操作互換 | 画面は独自でよい。互換路線が背負います |
互換路線(LjStudio)と複合路線(仮称 LjFusion)。別のアプリにし、共通部品は 1 本。
ただし実測 3 件が通ることが条件。通らなければ内蔵のテクスチャ方式へ戻す。
8 ユニバース(4,096 アドレス)・器具 1,000 台。最初の 2 段は今の 4 ユニバースのまま進める。
配布中のデモ(ムービング 4 台+LED 壁 96 画素)の壁を GDTF にするところから。会場のデータは使わない。
互換路線の「押せる・書ける」と、複合路線の段 0 だけを並行。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| GDTF | General Device Type Format。照明器具の「型」(チャンネルの並び・可動範囲・形状)を記述する業界標準のファイル形式。卓やビジュアライザの多くが読める |
| MVR | My Virtual Rig。現場の器具配置(位置・向き・アドレス)を GDTF とともに受け渡す形式。grandMA・Vectorworks・Capture などと往復できる |
| サブフィクスチャ | GDTF で、1 台の器具の中にある個別に制御できる部分(LED バーの 1 画素など)。「1 台に多画素」を標準の形で表現できる |
| ユニバース/リンク | DMX の 512 アドレスのまとまり。旧 LJ は 4 リンク(2,048 アドレス)。Art-Net では universe と呼ぶ |
| Art-Net | DMX を LAN で運ぶ規格。制作機・再生機の出力と、onPC の入力がこれで繋がる |
| 焼く | 複合路線のショーを、旧 LJ 2.7 が読める形式(パッチ表・Sequence・Cue)に書き出すこと。旧 LJ の実機で再生できる |
| 縮退 | 焼くときに上限へ収めるために落とすもの(画素をまとめる・器具を外す・16bit を 8bit に)。何を落としたかは表で示す |
| grandMA3 onPC | MA Lighting の卓ソフトの PC 版。無償で 4,096 パラメータまで扱え、3D 表示と MVR の読み込みを持つ |
参考: grandMA3 help — Network and How to Output DMX/ grandMA3 help — Art-Net Menu/ GDTF 公式サイト。 関連する公開ページ: 開発進捗と計画/ 器具リプレース支援/ マトリクス LED の敷き方と操作。