タイマー・調光器に Wi-Fi と BLE が要る理由
― 電気工事のプロの方へ
「ただ時間どおりに点いて消えれば、それで十分では?」――そう思われるのは当然です。この頁では、精度のよいプログラムタイマーを作ってみて分かった、無線(Wi-Fi・BLE)が要る本当の理由を、専門用語をなるべく使わずに説明します。
- 時刻の正確さは、時計 IC の性能だけでなく、ときどき正しい時刻に合わせ直せるかで決まります(これに Wi-Fi を使います)。
- 設定を変えやすいことは、これからの家庭では「機能」ではなく「前提」になります(これに BLE と Wi-Fi を使います)。
- つながらなくても止まらないこと。無線は「あると便利」で、なくても動き続ける作りにします。
- これを標準のスイッチプレート 1 枚に収めたのが、下の「主役」のタイマーです。
主役:標準のスイッチプレートに収まる、月差 ±13 秒のタイマー
この頁でいちばん見ていただきたいのが、壁のスイッチプレート型「四季の色温度タイマー」です。一般の壁スイッチと同じプレートに収まる大きさで、正確な時計と、照明の色をゆっくり変える調光を 1 台にまとめました。
壁スイッチと同じ大きさ
1.3 インチの液晶と押しボタン 6 個を、スイッチプレートの大きさにまとめました。時計・カレンダー・今の色温度がひと目で分かります。
月差 ±13 秒
温度補償つきの時計 IC で、ネットワークがなくても、ひと月のずれは約 ±13 秒。つなげば 1 時間ごとに自動で時刻を合わせます。
2 系統の色温度
ロビーと通路など、2 つの系統を別々の色温度で動かせます(DMX 照明に対応)。
設定はスマホから・停電でも戻る
時刻も色温度も、スマホのブラウザから変えられます。設定は本体に保存され、電源が戻ればすぐに今の時間帯の照明に戻ります。
1. 「精度抜群」とは、どれくらいか
温度補償つきの時計 IC(DS3231)を使い、ネットワークがなくても、ひと月のずれは約 ±13 秒です。
ネットワークにつなげば、1 時間ごとに自動で時刻を合わせます。ずれがたまりません。
水晶を使った一般的な時計は、気温の変化でじわじわ進んだり遅れたりします。「毎日 18:00 に点灯」のはずが、数か月後には少しずつずれている――そういうことが起こり得ます。そのずれを、部品の精度と自動の時刻合わせの二段構えで抑えています。
停電したときも、設定は本体に保存されています。電源が戻れば、その時刻にあるべき照明の状態へすぐ戻ります。誰かが現場に行って設定し直す必要はありません。
2. 「ゆっくり変わる」ことの価値(フェーダー)
ここで作ったのは、時刻になったら「パッ」と切り替わるタイマーではありません。朝は白い光、昼は明るい昼光色、夕方から暖かい色、夜は電球色へ――数分〜十数分かけて、気づかないほど滑らかに変わります。夏は涼しげな白寄り、冬は温かみのある色寄りと、季節でも変えられます。
| 季節 | 朝 | 昼 | 夕 | 夜 |
|---|---|---|---|---|
| 春 | 5000K | 6000K | 3500K | 2700K |
| 夏 | 5500K | 6500K | 4000K | 3000K |
| 秋 | 5000K | 5500K | 3500K | 2700K |
| 冬 | 4500K | 5000K | 3000K | 2700K |
初期設定の例です。時刻も色温度も、スマートフォンのブラウザから変えられます。
こうした「時間をかけて変える」動きは、時計が正確でないと成り立ちません。時刻がずれると、夕方の暖色が出るタイミングもずれるからです。正確な時計と、滑らかに変える調光は、セットです。



実機の液晶。時間帯に合わせて、色温度の表示と照明がゆっくり変わっていきます。
3. なぜ Wi-Fi と BLE なのか
電気工事の現場で、いちばん手間がかかるのは「施工が終わってからの設定変更」ではないでしょうか。無線があると、そこが変わります。
| 方式 | 使いどころ | うれしい点 |
|---|---|---|
| Wi-Fi | 時刻の自動合わせ/離れた場所からの確認・設定 | ずれが自動で直る。ブラウザで状態やログが見える。ネットワークは Wi-Fi 以外に有線 LAN も選べる。 |
| BLE(Bluetooth Low Energy) | その場で、スマホから設定 | ルーターや家の Wi-Fi の設定がいらない。壁の前に立って、スマホのブラウザから時刻表やシーンを書き換えられる。 |
| 無線なしでも動く | 停電・ネット障害のとき | 設定は本体に保存。無線が切れても、予定どおりに動き続ける。 |
壁のプレートに、画面を大きくは付けられない
壁に収まる大きさにすると、液晶は 1.3 インチほどです。細かい設定をそこで行うのは大変です。そこで設定の画面は、お客様が普段使っているスマホに任せます。本体は小さく、操作は大きな画面で――これが、BLE・Wi-Fi を載せる一番の理由です。
クラウドには頼らない
主要な設定は本体の中に保存します。外部のサービスが終了しても、アカウントがなくなっても、タイマーとしての仕事は続きます。無線は、時刻合わせと設定のための「出入り口」です。
4. 一般の家庭でも、これから必要になる
ここからは筆者の見立てです。45 年、照明制御に関わってきた実感として書きます。
- お客様は、すでにスマホで設定する側にいます。テレビも給湯器もエアコンも、スマホで操作するのが当たり前になりました。壁のタイマーだけ「ドライバーで小さなダイヤルを回す」では、次第に見劣りします。
- 季節や生活が変われば、設定も変わります。引っ越し、模様替え、家族の生活時間の変化。そのたびに電気屋さんを呼ぶのではなく、本人が数タップで直せれば、お客様も工事店も楽になります。
- 電気工事の仕事は「配線して終わり」から、「配線と設定をひと続きで渡す」へ。無線対応の器具は、引き渡し時にスマホで設定を一緒に確認できます。後日の問い合わせにも、画面で状況を確認しながら対応できます。
- 自動点灯・自動消灯は、時計が合っていてこそ役に立ちます。消し忘れを防ぐ省エネも、留守宅の点灯も、時刻がずれていると効果が薄れます。
5. 電気工事の方へ――こんな場面で
店舗・ロビー
開店・閉店に合わせた自動の点灯と調光。季節の変わり目の設定変更を、スマホで済ませる。
戸建て・マンション共用部
玄関・廊下・庭の照明を、日没・季節に合わせて自動化。停電後も自動で復帰。
施設・長期展示
祝日や記念日のシーンを事前に登録。設定を遠隔で更新・確認。
既存設備の更新
古いタイマーの置き換え。DMX 照明との連携や、2 系統の色温度の別々制御にも対応。
6. 実際に触ってみる・もっと詳しく
「この現場なら、こう使えるのでは」というご相談だけでも歓迎です。実機でのデモや、遠隔でのご説明もできます。