LjStudio は Martin LightJockey 2.7 が書いたデータを読み書きする独自実装です。
Martin 社の製品ではなく、同社とは関係がありません。取り込んだ原本には一切書き込みません。
画面の絵はすべて LjStudio 自身の画面で、試験用のデータで撮ったものです(冒頭のイメージ図だけは AI 生成のコンセプト画です)。
目次 0. 動画で見る 1. 読み方と、「ずれ」とは何か(器具 1 台に 9 つ) 2. なぜ「1 点で合わせる」では足りないか 3. 光からは見分けられない組み合わせ 4. 何点要るか・どこに置くか 5. 今の LjStudio でできること(2026-10-23 時点) 6. 現場の手順(段取り表) 7. 実機が無いときの確かめ方(模擬) 8. 今後 9. 用語表
1. 読み方と、「ずれ」とは何か(器具 1 台に 9 つ)
この頁の読み方
実機(本物のムービング)での校正は、まだ一度も確認していません。 「実機で確認済み」と読める箇所は、この頁にはありません。傾きの符号(正のピッチがどちらへ倒れるか)も、実機では未確認です。出てくる数字(「傾き 1.5° で顔の高さ 24 cm 外れる」など)は、合成データの数値実験 です。計算機の中で真の姿勢を決めて観測を作り、解き直した結果で、現場の実測ではありません。 「合わなかったらその場で合わせる」は間違いではありません。ただし校正の代わりにはなりません 。何が直って何が直らないかを、ずれの種類ごとに書きます。
「ずれ」とは何か
ムービング 1 台が「ここを狙え」に応えるとき、卓や LjStudio は次の前提で Pan/Tilt を計算しています。
器具は図面どおりの位置 に吊ってある。 器具は図面どおりの向き で、水平に 付いている。 Pan/Tilt のゼロ は取扱説明書どおりの向きにある。 Pan/Tilt の可動角 は公称どおり(540°/270° など)。
現場ではこの前提のどれもが少しずつ崩れます。崩れ方を数えると、次の 9 つになります。図の色分けは、LjStudio が解く物(シアン)と解かない物(灰色)の区別です。
器具 1 台のずれ 9 つ。シアン=LjStudio が解くもの、灰色=解かないもの(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
数え方の注意: 参照用の別の解き手(CalibTrack)の誤差モデルは 10 項目(位置 3・ロール/ピッチ/ヨー・pan0/tilt0・kPan/kTilt)ですが、ヨーと pan0 は光だけからは見分けられない ため、1 つにまとめて実質 9 つです(見分けられない理由は 3 章)。
位置のずれ(X・Y・Z)
現場でどう起きるか : 図面の吊り位置と、実際にクランプを掛けた位置の差。バトンやトラスのどこに掛けたか、ずらして付けた、など。高さ(Y)は、トラスのたわみや吊りワイヤーの長さでも変わります。光にどう見えるか : 器具から離れた所ほど、狙いが同じ向きにずれて見えます。近くの点はほぼ合い、遠い点で外れます。高さ(Y)のずれは、Tilt のゼロのずれと混ざって見えます(3 章)。LjStudio が解くか : 解きます (3 つとも)。【確認】吊り位置を巻尺・レーザーで信じられるなら「位置は動かさず向きだけ解く」(mode=fixedpos)も選べます。
向きのずれ——ヨー(水平に回る向き)
現場でどう起きるか : 器具を取り付けるときの回転の向き。ベースの向きが図面と 1 本違う、など。光にどう見えるか : 全体が左右に回ったようにずれます。Pan を動かす向きの全部に同じ角度のずれが乗ります。LjStudio が解くか : 解きます (取付ヨー 1 つ)。【確認】Pan のゼロのずれ(pan0)も、このヨーに吸収されます(3 章)。
向きのずれ——ピッチ・ロール(傾き)
現場でどう起きるか : 吊り金具の締め、トラスのたわみ、ベースの傾きで、器具の Pan 軸が鉛直(真上)からずれます。前後の傾きがピッチ、左右の傾きがロールです。これが「斜め」の正体です。 光にどう見えるか : Pan を回しても、床の落ち先が「中心の決まった円」を描きません。ある点で合わせても、別の方向へ振ると外れます (2 章)。目安は、ピッチ 1° で 10 m 先に 175 mm(CalibTrack の見積り)。【未照合】LjStudio が解くか : 2026-10-23 から解きます (6 自由度)。【確認】それまでは解かず、絵にも出ませんでした。現場でどれだけ傾くかは未計測で、トラス吊りで 0.5〜2° という見当は【推測】です。
Pan/Tilt の機械ゼロ(pan0・tilt0)
現場でどう起きるか : 器具のゼロ合わせ(工場出荷時の調整・リセット後の位置)が、取扱説明書の「Tilt 0=真下」からわずかにずれている。光にどう見えるか : pan0 は全体が回ったようにずれ、ヨーと同じ見え方 になります。tilt0 は、全ての Tilt が同じ角度だけずれます(1° で 6 m 先に約 10 cm【推測】)。LjStudio が解くか : pan0 はヨーに吸収 されて別には持ちません。【確認】tilt0 は解くことはできますが(mode=full+tilt0)、rig.json に置き場が無く、反映できません (結果の確認用)。【確認】
可動角の係数(kPan・kTilt)
現場でどう起きるか : 公称 540° の Pan が実測では 538° だった、のような差。機種の個体差・経年。光にどう見えるか : 動かす幅が大きいほど、端でずれます。公称 540° が実測 538° のとき、端で 1° 弱。【推測】LjStudio が解くか : 解きません 。【確認】器具の .spt(または GDTF)の値をそのまま信じます。残差が可動範囲の端で系統的に大きいときだけ疑う、という方針です。
ずれ LjStudio 備考 位置 X/Y/Z 解く 位置を信じるなら固定にもできる ヨー 解く pan0 を含めて 1 つ ピッチ・ロール 解く(10-23〜) 符号は実機未確認 pan0 ヨーに吸収 別には持たない tilt0 解けるが反映先が無い 置き場を作るのは今後 kPan・kTilt 解かない .spt/GDTF を信じる
下の 2 枚は、このあと 7 章で使う「模擬」の絵です。卓が信じている姿勢では光が目印に乗っている (傾き無し)のに、現実の器具が傾いていると光は外れる 、という違いを並べます。どちらも Visualizer の絵で、実機ではありません。
模擬(Visualizer の絵で、実機ではない): 現実の器具を、分かりやすさのため 6°/−5° と大きめに傾けた例。卓は P1 を狙っているのに、光は約 2.1 m 外れる(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
模擬(Visualizer の絵): 傾き無し(卓が信じている姿勢=真の姿勢)。校正シーンの白い光が P1 に乗っている(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
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2. なぜ「1 点で合わせる」では足りないか
2-1. 1 点合わせで直るもの・直らないもの
「ずれていたら、その場でスティックを寄せて合わせる」を、1 点オフセット と呼びます(grandMA3 の Patch の Offset Pan/Tilt と同じ考え方)。これは Pan と Tilt に一定の足し算 をするだけです。
直る : Pan と Tilt が一定量ずれているだけのとき(ゼロ合わせの差、ヨーの小さなずれ)。合わせた点の近く では、ほぼ合います。直らない : 傾き(ピッチ・ロール)と、位置の誤り。これらは「方向によってずれ方が変わる」ずれなので、一定の足し算では打ち消せません。
Pan を回したときの床の落ち先。水平なら円、Pan 軸が傾くと偏った輪になる(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
Pan 軸が傾いていると、Pan を 1 周させたときの床の落ち先は、器具の真下を中心とした円ではなく、ずれた中心の円 になります。1 点で合わせると、その点だけ合って、少し Pan を回した別の方向では傾きぶんだけ外れます 。
下の絵は模擬(Visualizer の絵で、実機ではない)です。傾きを 2°/−1.5° にした現実の器具で、卓は目印を狙っているのに光が 0.60 m 外れています。
模擬(Visualizer の絵で、実機ではない): 現実の器具を 2°/−1.5° 傾けた例。卓は目印 P1 を狙っているのに、光は 0.60 m 外れる(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
2-2. 数字(合成データの数値実験)
数値実験その 1 (器具 6 m・床 4 点・目の合わせ誤差 0.3°・300 回平均。顔の高さ 1.6 m の平均のずれと、95% 点):
取付の傾き(前後/左右) 傾きを解かない(位置 3+ヨー) 傾きも解く(位置 3+ヨー・ピッチ・ロール) 0°/0° 4.9 cm(95%: 11.7) 7.9 cm(21.9) 0.5°/−0.5° 7.8 cm(19.1) 8.0 cm(22.3) 1.5°/−2.0° 24.2 cm(55.1) 8.5 cm(23.1) 3.0°/−3.0° 38.9 cm(83.7) 7.8 cm(21.4)
傾きが 0.5° 以下 なら、傾きを解かない従来の型で足ります。水平なら、未知数が少ない従来の型のほうがむしろ良いくらいです(4.9 対 7.9 cm)。 傾き 1.5° あたりから急に悪くなります 。傾きを無視して位置だけ信じる型は、同じ条件で 47〜49 cm でした。
数値実験その 2 (LjStudio の計算部で再現した結果。σ=0.3°・200 試行・5 点・顔の高さ 1.6 m の着地のずれの平均):
傾き 従来の 4 未知数(yaw) 6 自由度(full) 0° 3.0 cm 3.6 cm 1.5° 13.9 cm 3.6 cm 3° 22.1 cm 3.5 cm
読み方: 水平ならわずかに従来が良く、傾きが 1.5° を超えると 6 自由度が大きく勝ちます 。2 つの実験は条件(点の数・試行回数)が違うので、数字を直接並べて比べないでください。
アプリでの通し(合成の観測) : 器具 1 台にピッチ 2°・ロール −1.5° を付けて 5 点を記録し、解いた結果の原文です。観測は計算機内の合成で、本物の器具ではありません。
6 自由度(mode=full): 最大残差 0.7 cm・検証点 P5 が 0.9 cm で、真の傾き 2.0°/−1.5° に近い 2.1°/−1.5° に戻りました 。反映すると 2.0°/−1.5°。 従来の 4 未知数(mode=yaw): 最大残差 21.2 cm(悪い)で、高さを 6.5 m→6.9 m と間違えました 。傾きを位置で誤魔化そうとした結果です。
calib solve 1 mode=yaw
#1 悪い(最大残差21.2cm・5点・mode=yaw) (-6.8,6.5,3.0)/294°/傾き0.0°,0.0°→(-6.7,6.9,2.7)/294°/傾き0.0°,0.0°
calib solve 1 mode=full verify=P5
#1 良い(最大残差0.7cm・4点・mode=full) 検証点P5:0.9cm (-6.8,6.5,3.0)/294°/傾き0.0°,0.0°→(-6.7,6.5,3.0)/294°/傾き2.1°,-1.5°
calib apply 1 mode=full
1 台へ反映(控え: LjStudio.rig.json.bak): #1 良い(最大残差0.9cm・5点・mode=full) (-6.8,6.5,3.0)/294°/傾き0.0°,0.0°→(-6.7,6.5,3.0)/294°/傾き2.0°,-1.5°
2-3. 「合わなかったらそこで合わせる」の位置づけ
開演前の近道としては正しい 。小さなずれを 1 台 30 秒で直す手です。【推測】ただし、校正の代わりではありません 。傾きや位置の誤りは、ある点で合わせても別の点で外れます。 この近道(Pan/Tilt オフセットの記憶)は、LjStudio に入っています。実機では未確認です。
整理すると、次の分担です。
道具 何を直すか いつ使うか 水準器・シム・クランプの締め直し 傾きの根本 吊り込み時(1 台 1〜2 分) 6 自由度の校正 位置・ヨー・傾き(全方向で合う) 吊り込み後に 1 回 1 点オフセット 小さな一定のずれ 開演前の確認で、ずれた器具だけ
同じ 4 点で、1 点合わせのオフセットと 6 自由度を解く場合の違い(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
同じ 4 点で、1 点オフセットは合わせた点の近くだけ合い、6 自由度は全方向で合う、という比較図です。
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3. 光からは見分けられない組み合わせ
校正は「光の向き」だけを観測します。そのため、光の向きが同じ変化になるずれは、区別できません 。
3-1. ヨーと pan0
ヨー(取り付けの回転)と pan0(Pan のゼロのずれ)は光だけでは見分けられない(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
ヨー(器具を取り付けた向き)と pan0(Pan のゼロ)は、どちらも鉛直軸まわり に全体を回すずれです。光の向きだけから見ると、同じ量だけ回ったことしか分かりません(CalibTrack の解析で、最小特異値が約 1e-8=ほぼ区別できない)。 そのため LjStudio は、ヨー 1 つ で持ちます。pan0 を別に置きません。CalibTrack で同じデータをヨー 0 に固定して解くと、真のヨー(0/90/270°)は pan0 に 0.1° 以内で吸収されました。 実害は無く、ヨーに入った値は「取付の向き+Pan のゼロのずれ」の合計として働きます。
3-2. tilt0 と高さ(またはピッチ)
tilt0 と吊り高さ Y は、真下に近い点だけだと混ざる。遠い点を混ぜると分かれる(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
Pan がほぼ同じ向きの点ばかりだと、Tilt のゼロが合っていない ことと、吊り位置が高すぎる・低すぎる ことが、同じ見え方になります。 区別するには、Pan が大きく違う点 (器具の真下に近い点と、遠い点)を混ぜます。 高さの違うマーカー(段の上・台の上)を 1〜2 個混ぜると、床だけのときより精度が上がります。数値実験で、高さの誤差が 4.2→2.8 cm(約 3 割減)、顔の高さの平均が 8.0→6.6 cm(約 2 割減)でした。ただし「劇的ではない」改善です。
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4. 何点要るか・どこに置くか
マーカーの置き方。良い例(4〜5 点・2 m 以上・一直線にしない・高さ違い・検証点)と悪い例(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
4-1. 点の数
1 点を狙うごとに、Pan と Tilt の 2 つの値が得られます。
点数 解けるもの 注意 3 点 位置+ヨー(4 未知数)。吊り位置を信じるなら向き 3 つだけ(fixedpos) 答え合わせ(余り)が無い 4 点以上 位置+ヨー+傾き(6 未知数) 3 点では傾きまで解かない。LjStudio は 4 点以上で自動的に傾きまで解く(mode=auto) 5 点(推奨) 同上+検証点を 1 つ 残せる 検証点=計算に使わず答え合わせだけに回す点 8〜9 点 CalibTrack の 9 未知数(tilt0・kPan・kTilt まで) 理由は 4-3
3 点未満は、LjStudio は「断り」にして反映しません。
4-2. 置き方
2 m 以上離す 。点の間隔が 1 m だと壊れました(向きが 11° 外れ、顔の高さで 130 cm)。LJ 本家のヘルプも「数 m 離す」です。一直線にしない 。ほぼ一直線のときは断ります。高さの違う点を 1 つ 混ぜる(3-2)。器具から見て Pan が大きく違う点 を混ぜる(3-2)。 5 点のうち 1 つは検証点 にする(calib solve 1 verify=P5 のように指定)。計算に使わなかった点にも当たれば、合って見えるだけの解ではない、という確認になります。 LJ 本家の流儀に従えば、器具ごとに別の 4 点でも構いません 。できるだけ多くの器具から届く点にすると、置く手間が減ります。 会場には 6〜8 個のマーカーを置き、座標を 1 回だけ測る案です(例: 舞台前の左右・奥の左右・中央・客席通路)。
下はマーカー表の例です(P1〜P5。床の点は Y=0)。
Rig setup 窓のマーカー表(P1〜P5。床の点は Y=0)。これは模擬(Visualizer)で使った表で、実機の会場ではない(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
4-3. CalibTrack の 9 未知数が 8〜9 点を要する理由
同じ合成データ(器具 3 台×マーカー 5 点)で、CalibTrack の 9 未知数は、DMX の 16bit 丸め(0.0082°)が入ると位置が 10.3 mm・tilt0 が 0.17° 外れ 、合格線(位置 10 mm・角度 0.1°)を割りました。丸めなければ 0 です。 LjStudio の 4 未知数は、同じ丸めでも 0.3 mm 以下・0.002° で余裕でした。 つまり、未知数を増やすほど、点を増やさないと誤差に弱くなる 。CalibTrack が実用 8〜9 点とする理由が数字で出ました。
4-4. 目の合わせ誤差
目で光の中心を印に合わせる誤差(仮定 0.3°)は、ほぼ比例して最終誤差に出ます。0.05°→1 cm、0.3°→5 cm、0.6°→11 cm、1.0°→17 cm。 だから、極細のビームで合わせる ・16bit の Pan/Tilt を使う のが効きます。
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5. 今の LjStudio でできること(2026-10-23 時点)
LjStudio の取扱説明書(「校正シーン」「校正から位置を計算する」)に沿った手順です。以下の絵は、すべて模擬(Visualizer の絵)で、実機ではありません。
5-1. 準備: マーカーを置く・器具の姿勢を入れる
Rig setup の校正マーカー表に、会場で実測した点を入れます(名前は 12 文字まで・空白なし・床は Y=0)。AI からは marker add P1 -3 0 2。器具の姿勢(位置・ヨー・ピッチ°・ロール°)も同じ窓の欄に入ります。
Rig setup 窓の器具の姿勢の欄(位置・ヨー・ピッチ°・ロール°)。模擬の画面(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
5-2. 校正シーンに入る
入り方は 4 つあり、どれでも同じ状態になります。
パッドの RT(PlayStation 系は R2) Q ボタン(名前が Calibration/キャリブレーション/校正で始まる Cue を呼ぶ) Visualizer 上の 2 段目の[校正シーン]ボタン AI から calscene on
入ると、ムービング全台がマーカー用のビームサイズで点きます。調べる 1 台だけが白く明るい細い光 (床の光の直径 0.5 m)になり、ほかの器具は暗い色変化の光になります。
5-3. 寄せる
調べる器具の白い光が、床の目印に乗っているかを見ます。ずれていたら、左スティックで寄せます(LT を押しながらでゆっくり・R3 で元へ戻す)。AI からは calscene nudge <dX> <dZ>(m。X は右が+、Z は客席側が+)。下の絵は、調べる器具 #1 の白い光が P1 から外れている状態です(画面の帯は「ずれ なし」=まだ寄せていない)。
校正シーン(模擬): 調べる器具 #1 の白い光が P1 から外れている。帯は「ずれ なし」=まだ寄せていない(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
5-4. 記録する
A を押す(AI からは calscene ok、または calib mark P1 3)と、その器具の Pan/Tilt(寄せたあとの値)が LjStudio.calib.json に記録され、次の器具へ進みます。下の絵は寄せたあとで、帯に「ずれ 左0.24 m・手前0.49 m」と出ています(寄せた分の表示)。光が P1 に乗っているので、ここで記録します。
校正シーン(模擬): 寄せたあと(帯に「ずれ 左0.24 m・手前0.49 m」)。光が P1 に乗った=ここで記録する(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
目印に届かない器具は X(記録せずに要調整)、間違えたら Y でやり直し。 十字キー ← → で前後のマーカーへ。 回し方は 2 通り あります。「マーカーごとに回す 」は、1 つの印に全器具を順に合わせてから次の印へ進む(校正シーンの既定)。「器具ごとに回す 」は、1 台について全マーカーを記録してから次の器具へ進む(calscene ok は記録のたびに次の器具へ進むため、毎回 calscene fixture 1 で戻す)。どちらも命令で組めます。
5-5. 解く
Rig setup の[校正から計算…]、または calib solve [器具NO] [mode=…] [verify=P5] です(calib solve は書かない下見です)。mode は次の 5 つです。
mode 解く物 要る点 auto(既定) 別々のマーカーが 4 点以上なら full、3 点なら yaw 3〜 yaw 位置+ヨー(傾きは 0 と仮定) 3 full 位置+ヨー+傾き(6) 4 以上(5 推奨) fixedpos 位置は動かさず向きだけ 3 full+tilt0 full + Tilt のゼロ(7)。tilt0 は rig.json に書かず確認用 4 以上(5 推奨)
解いた結果の原文(2 章の回と同じ)です。mode=yaw は悪く、mode=full verify=P5 は良く、反映すると傾きが 2.0°/−1.5° になります。
calib solve 1 mode=yaw
#1 悪い(最大残差21.2cm・5点・mode=yaw) (-6.8,6.5,3.0)/294°/傾き0.0°,0.0°→(-6.7,6.9,2.7)/294°/傾き0.0°,0.0°
calib solve 1 mode=full verify=P5
#1 良い(最大残差0.7cm・4点・mode=full) 検証点P5:0.9cm (-6.8,6.5,3.0)/294°/傾き0.0°,0.0°→(-6.7,6.5,3.0)/294°/傾き2.1°,-1.5°
calib apply 1 mode=full
1 台へ反映(控え: LjStudio.rig.json.bak): #1 良い(最大残差0.9cm・5点・mode=full) (-6.8,6.5,3.0)/294°/傾き0.0°,0.0°→(-6.7,6.5,3.0)/294°/傾き2.0°,-1.5°
5-6. 判定の読み方
結果の表には、器具ごとに使ったマーカー・残差・判定・解き方(mode)・旧→新の位置/ヨー/ピッチ/ロール・検証点の残差 が並びます。
残差 : マーカーの高さの面で、ビームが落ちる点とマーカーの距離(m)。判定 : 5 cm 未満が「良い」、20 cm 未満が「要確認」、それ以上は「悪い」。判定は計算に使った点だけ で決めます。「悪い」の器具は、初めはチェックが外れています。検証点 : 計算に使わなかった点の残差。小さければ、合って見えるだけの解ではありません。傾きの欄が「—」なのは 0 のところです。
断り : 次の場合は反映できません(中途半端な数字を黙って書かないため)。
点が 3 つに足りない マーカーどうしが近すぎる(2 m 未満) ほぼ一直線 計算が収束しない(発散) 数値が壊れた(NaN)
5-7. 反映・取り消し
チェックを入れた器具だけを[反映](AI から calib apply)。書く前に LjStudio.rig.json.bak に控えを残し、[元に戻す](calib undo)で直前の反映を取り消せます(控えは 1 世代だけ)。書き先は LjStudio.rig.json の 1 本だけで、LightJockey の原本には書きません。
5-8. 確かめる
追尾を入れて、BACK+十字キーでマーカー(P1〜P4)へ跳び、全台のビームが印に当たるかを見ます。下の 2 枚は、解いて反映したあとの P1 と P3 です。寄せ無しで光が目印に乗っています(帯は「記録 5 点」)。
確かめる(模擬): 解いて反映したあと、寄せ無しで P1 に乗る。帯は「記録 5 点」(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
確かめる(模擬): 同じく P3 に乗る(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
5-9. できないこと
kPan/kTilt は解きません。 tilt0 は解けても反映先がありません。 初期値が大きく外れた場合(半回転・上下逆の解)は未検証です。rig.json が空のまま解くのは避けてください。 .spt の無い器具は、GDTF を読めるようになりましたが(符号は仮定・実機未確認)、実物の GDTF での検算は未です。実機では一度も通していません。
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6. 現場の手順(段取り表)
現場の流れ。校正して、確かめて、合わない器具だけやり直す。開演前の近道も(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
出典のある時間の目安だけを入れます。ほかの数字は未確認です。
順 いつ やること 時間の目安 1 吊り込み時 水準器で器具の水平を出す (シム・クランプの締め直し)。傾きの根本はここで減らす1 台 1〜2 分 2 校正の前 マーカーの座標を実測 して Rig setup に入れる(床は Y=0)。測り誤差が最終精度の限界になる未確認 3 校正 校正シーンで寄せて記録 → 解く → 判定を読む(5 章) 1 回の寄せ 20〜40 秒の見込み【推測】。1 台の合計は未確認 4 反映 良い器具だけ[反映]。「悪い」は合わせ直して記録し直す。やり直すのは合わない器具だけ — 5 確認 追尾で各マーカーへ跳んで当たりを見る — 6 開演前 中央のマーカーへ全台を一斉に向けて目で見る。ずれた器具だけ1 点オフセット で直す(近道) 1 台 30 秒【推測】 7 運用中 ずれたら人が校正し直す方針。常時の自動再校正は採らない。オフセットで吸収できない大きなずれ(吊り替え・バトンの高さ変更)だけ、3〜5 をやり直す —
40 台全体の所要は、「1 台 3〜4 分・約 3 時間」の見積りに対し、見直しで「55〜110 分+マーカー係の移動」と見込みました。どちらも【推測】で、現地の 1 台目・10 台目で実測して見直す前提です。 人は 2 名(マーカー係と LjStudio 係)の想定です。マーカーごとに回すと、マーカー係は 1 巡で済みます。 卓側には「開・白・狭」で出してもらう必要があります(全台を一度に点ける時間が長くなるので、事前に卓オペレーターへ伝える)。
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7. 実機が無いときの確かめ方(模擬)
模擬の構成。1 台の LjStudio の中の「卓」と「現実」/2 台で Art-Net をつなぐ構成(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
7-1. 以前の Visualizer では「ずれ」が絵に出なかった
Visualizer は、rig.json にある1 つの姿勢 で器具とビームを描きます。校正は「ビームが印に乗っているか」を見るので、そのままではビームは必ず印に乗り、ずれが絵に出ません。実機なら起きる「器具の姿勢が思っていたのと違う」を、絵だけでは再現できませんでした。
7-2. 数値での模擬: 真の姿勢で記録して、ずらして解く
器具に真の姿勢 (例: ピッチ 2°・ロール −1.5°)を入れる。 校正シーンで、その真の姿勢のまま 5 点を記録する(光は印に乗る。観測は真の姿勢での Pan/Tilt)。 姿勢をわざとずらす (位置・ヨー・傾きを 0 に戻す)。 calib solve 1 mode=full verify=P5 で解き、真の姿勢に戻るか見る。比較として mode=yaw も解く。calib apply → rig list → calib undo で反映と取り消しも通す。
結果は 2 章のとおりです。数値としては正しく動きますが、この方法だけでは画面に「光が外れる」様子は出ません 。
7-3. 「真の姿勢で描く」模擬(rig truth)
Visualizer だけが真の姿勢 でビームと器具を描き、校正・Fast Focus・追尾は rig.json の信じている姿勢 のまま計算する模擬です(命令 rig truth …・保存しない)。次のことが目に見えるようになります。
卓(信じている姿勢)が狙った点に対して、光は現実(真の姿勢)側へ外れて描かれる (1 章・2 章の絵)。 寄せて記録 → 解く → 反映したあと、外れていた光が印に戻る (下の比較)。 1 点オフセットで 1 点だけ合わせたとき、別の点では傾きぶん外れたまま になるのが見える。
模擬(Visualizer の絵で、実機ではない): 反映前(光が外れる)と反映後(光が目印に乗る)の並び(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
寄せの回数 (2°/−1.5° の例を、光の落ち先と目印のずれ〔m〕で測ったもの。寄せるたびに小さくなります):
目印 寄せる前 1 回目 2 回目 3 回目 P1 0.604 0.058 0.010 — P2 1.208 0.189 0.028 0.010 P3 0.574 0.054 0.010 —
これは模擬(Visualizer の絵)の中での話で、シミュレーターでどう見えるかの説明です。実機の挙動の確認ではありません 。
7-4. 2 台構成(卓/現実)
もう 1 つの案は、2 台で役割を分ける構成です。卓 は信じている姿勢(rig.json)で狙いを計算して Art-Net を出し、現実 は Art-Net を受けて真の姿勢で光を描く Visualizer です。実機の構成(卓→Art-Net→器具)に近く、「現実側の姿勢」を卓の計算とは完全に別に持てます。1 台で足りる構成を先に使い、2 台構成は後にする想定です。
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8. 今後
8-1. 状態(2026-10-23 夜)
内容 状態 C# と Python の解を同じ合成データで比較する突き合わせ 済 6 自由度化(画面・ソルバー) 済(アプリでの通しは合成の観測) 実機 1 台をわざと 2° 傾けて吊る 未 (実機の手配待ち)開演前の近道(Pan/Tilt オフセット) 済(実機では未確認) MVR 3 軸の書き出し・読み込み 済。onPC・UE5 での再取込と答え合わせは未 GDTF 読み 済。実物 GDTF と実機での検算は未 EyeTrack/UE5 側の逆補正層 未
実機では一度も確認していません。
8-2. 最優先の未確認つぶし: 実機 1 台を 2° 傾けて吊る
実機を 1 台、わざと 2° 傾けて吊り、次を測ります。
Pan/Tilt の符号 と Tilt 0 の姿勢(LjStudio・GDTF の仮定を確かめる) .spt/GDTF の可動角 水準器で傾きを実測 マーカー 5 点で記録 → 4 未知数と 6 未知数で解く → 追尾で 3 点へ飛ばして着地のずれを巻尺で測る
合格線は 10 m 先で ±5 cm(CalibTrack の合格線)。実機の手当が決まるまで、「実機で通す」「tilt0」は未確認のままです。
8-3. その他の残り
tilt0 の置き場 (rig.json)と反映。kPan/kTilt を選択肢に入れるか(今は .spt/GDTF を信じる)。残差の尺度を 1 つにする(LjStudio=マーカー面の距離 m、CalibTrack=方向ベクトル差。0.1° ≒ マーカー面で 11〜35 mm)。 高さの同じマーカーだけのときの警告。 初期値が大きく外れた場合の検証。
8-4. grandMA3・UE5 へ渡せる物
渡し先 受け取れるもの 数 grandMA3 Position(3)+Rotation(3)+ Patch の Offset Pan/Tilt(2) 8 つ Unreal Engine 5(DMX プラグイン) Transform(位置 3+回転 3)だけ。実器具との補正機能は無い 6 つ
残る tilt0・kPan・kTilt(と pan0)は、DMX を出す側(LjStudio の追尾層)で打ち消す 方針です。grandMA3/UE5 には位置と向き(MVR)だけを渡します。【推測】(提案段階) MVR の 3 軸書き出し・読み込みは実装済みです。grandMA3 との往復は「まだ確かめきっていない部分がある」と取扱説明書に明記されています。
シミュレーターの候補(費用・機能は未確認のものが多い) 動画や絵のために、Visualizer だけで足りなければ他のシミュレーターを検討する、という意向があります。費用・機能は出典に無いものを推測で書かず、「未確認」とします。
候補 使い方 校正まわりの機能 LjStudio 2 台(卓+現実を Art-Net で分ける)/rig truth 7 章 追加費用なし UE5+DMX プラグイン MVR 取込で位置・回転、GDTF で Pan/Tilt 範囲 実器具との補正機能は無い。実器具と合わないという報告あり【未照合】 grandMA3 onPC+MA 3D MVR 取込・Position Calibration(3 点可・4 点推奨)・Offset Pan/Tilt Position Calibration は残差の記載なし。解き直すと器具が大きくずれる報告あり【未照合】 Capture 器具プロファイルの向き確認 位置は解かない【未照合】。そのほかは未確認 Depence 未確認 未確認
購入の判断は、LjStudio 1 台で模擬した動画を見てからで足ります。
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9. 用語表
用語 意味 ヨー 器具の取付の、水平に回る向き(Y 軸=鉛直軸まわり)。LjStudio の Rig setup の「ヨー」。Pan のゼロのずれ(pan0)を含みます ピッチ 取付の前後の傾き。正=器具の上端が客席側(+Z)へ倒れる(計算上の定義・実機未確認) ロール 取付の左右の傾き。正=器具の上端が左(−X)へ倒れる(同上) pan0・tilt0 Pan・Tilt の機械ゼロ。「DMX が中央のとき、Pan/Tilt が図面の向きにあるか」のずれ。pan0 はヨーに吸収、tilt0 は解けるが反映先が無い kPan・kTilt Pan・Tilt の可動角の係数。LjStudio は解かず .spt/GDTF を信じる 残差 解いた姿勢でマーカーを狙ったとき、ビームが落ちる点とマーカーの距離(マーカーの高さの面・m)。CalibTrack は方向ベクトル差(角度)で別の尺度 検証点 5 点のうち計算に使わず、答え合わせだけに回す 1 点(verify=P5)。判定には使わない mode 解き方の選択(auto/yaw/full/fixedpos/full+tilt0)。5 章 マーカー 会場の床などに付けた基準点(名前+実測の X/Y/Z)。Rig setup の校正マーカー表と Visualizer の水色の十字 校正シーン 光をマーカー用に整え(調べる 1 台が白く細い)、寄せて記録するための特別な光の状態。RT/Q/Visualizer/calscene on で入る 1 点オフセット Pan/Tilt に一定量を足して 1 点だけ合わせる手(grandMA3 の Offset Pan/Tilt と同じ) 6 自由度 位置 3+向き 3(ヨー・ピッチ・ロール)。mode=full CalibTrack 別の解き手(Python)。10 未知数(実質 9)。LjStudio の参照実装
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★操作(ゲームパッドで追尾する・校正シーン)の説明は別の頁にあります: 一斉追尾とキャリブレーション(ゲームパッドの操作説明)