LjStudio — 一斉追尾とキャリブレーション

ゲームパッド(Xbox 配列)で一斉追尾を動かし、校正マーカーで狙いを合わせるまでを、デモの実画面 26 枚で順に説明します。 / 最終更新 2026-09-29 20:05

LjStudio は Martin LightJockey 2.7 が書いたデータを読み書きする独自実装です。 Martin 社の製品ではなく、同社とは関係がありません。取り込んだ原本には一切書き込みません。 載せている絵はすべて LjStudio 自身の画面で、試験用のデータで撮ったものです。

★動いているところを映像で見る:「LjStudio 追尾操作説明(2K・フル)」 https://youtu.be/GyieczF_4yM

★動いているところを映像で見る:「LjStudio 追尾操作説明(短編・ジョイスティック操作)」 https://youtu.be/h4VSqLTKN7k

★動いているところを映像で見る:「LjStudio 最大デモ(2K)」 https://youtu.be/k_XWnei_-FQ

スタート前の画面の案内(音声だけ・4 分 53 秒)

録画を始める前に流した、画面の窓を順に説明する音声です。上の 2K の動画や、下の「全画面の見方」の絵を見ながら聞くと、どこを見ればよいかが分かります。▶ を押すと再生します。

案内の文面を読む

LjStudio デモを始める前に、画面の見方を、順にご案内します。案内が終わると、そのまま、LjStudio デモが始まります。

左上は、LjStudio のメイン画面です。元祖 LightJockey と同じ並びで、いちばん上の二段に、いま動いているシーケンス、Cue、Cue リストの名前が出ます。その下の Launch を押すと、Visualizer が開きます。

その下の帯のボタンです。イン、エムブイ、シーオー、ジービー、ビーエム、エルブイは、器具のパネルを開くボタンで、明るさ、向き、色、模様、ビーム、全チャンネルを、それぞれ操作します。オールとナンで、器具を全部選ぶ、全部外す。左右の矢印で、前と次の器具へ移ります。右端の四つは、再生、ブラックアウト、クリア、スモークです。ブラックアウトは全チャンネルをゼロにし、クリアは、最後に出していた光を消します。

その下が、器具の卓上です。アイコン一つが、器具一台。上に番号と名前、右下に器具の種類が出ます。アイコンを押すと器具が選ばれ、パネルで値を触れます。ムービング四十台が、前のトラス、奥のトラス、左のタワー、右のタワーの順に、十台ずつ並んでいます。

右側の二つの枠は、LED マトリクスのまとめボタンです。上が左の壁、下が右の壁で、どちらも、横十六、縦十の、フルカラーの画素です。キューの欄で選んだ Cue に、マトリクスエフェクトを登録できます。

メイン画面のいちばん下は、状態の帯です。再生の状態、グランドマスター、そして、Art-Net の送り先と受け側の設定が並びます。

左下の窓は、Cue リスト、つまり、シーンの進行表です。上から一行ずつ進みます。一行目の、エムピー・ロードファイルで、この音声をメディアプレイヤーに読み込み、二行目の、エムピー・プレイで、音声が始まります。

その下の、ウェイト・フォー・エムピー・アットの行は、音の再生位置を見ていて、決めた時刻になると、右の列の Cue を出します。アドバンスがオートなので、人が押さなくても、行は自動で進みます。音の時刻で進むので、光が音からずれません。窓の下のゴーで始め、バックで一行戻り、トップで先頭に戻ります。

中央の小さな窓は、LJ マネージャーの設定です。今回のデモでは使いません。

その下は、Cue リストの一覧です。一番は、演出を順に回し続ける、MaxShow40。二番が、音声案内つきの本編。三番が、いま流れている、この画面の案内です。

右上の大きな窓が、Visualizer です。出ている光を、立体で描きます。上の二段はボタンの帯で、視点、部屋の描き方、校正マーカーの表示などを切り替えます。床の青い十字が、校正マーカーです。表示が消えたときは、二段目の、マーカーのボタンを押すと、また出てきます。

右下は、Art-Net モニターです。いま LjStudio が送っている DMX の値を、一マス一チャンネルで並べます。マスの数字が値で、右の細いバーが大きさです。

左上のユーがユニバース、ピーがページ、シーエイチが見えているチャンネルの範囲、ピーピーエスが、一秒あたりに送っているパケットの数です。左右の矢印でページ、上下の矢印でユニバースを切り替えます。Art-Net のユニバースは、LJ のリンク番号より一つ小さく数えます。前と奥のトラスがユニバースゼロ、LED マトリクスがユニバース一と二、左右のタワーがユニバース三です。

それでは、LjStudio デモを始めます。

ゲームパッドの割り当て

Xbox 配列のゲームパッド(Logicool F310 など)のボタンと役目。A で入れて、LB/RB で組を選び、左スティックで点を動かす。B で解くと Cue の絵へ戻る(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

Xbox 系(XInput)のパッドは、つなぐだけで LjStudio が自動で見つけます(追加のソフトは要りません)。Logicool F310 は背面のスイッチを「X」にしてから USB につなぎ、MODE のランプは消して使います(点いていると十字キーと左スティックが入れ替わります)。

★操作する人は客席側から舞台を見ている前提です(Visualizer のはじめの視点と同じ向き)。

全画面の見方

説明映像を録画したときの画面です。番号の場所を、下の表と絵で順に説明します。

録画の画面の全体(番号は下の表)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)
1 メイン画面の上の段メニューと、いまの Sequence/Cue/Cue List の名前。器具の操作パネル(In=明るさ・Mv=動き・Co=色・Gb=ゴボ・Bm=ビーム・Fx=エフェクト・Lv=レベル)と、RUN・BlackOut・Clear などのボタン
2 器具の卓上ムービング 40 台。前のトラス・奥のトラス・左のタワー・右のタワーの順に 10 台ずつ。アイコンを押して器具を選ぶ
3 LED マトリクスのまとめボタン上=左の壁(Universe 2)・下=右の壁(Universe 3)。どちらも横 16 × 縦 10 のフルカラー。Q の欄で Cue を選び、マトリクスエフェクトを登録/解除する
4 状態の帯と Art-Net時刻・再生の状態・グランドマスター。Art-Net の送り先(Universe 0〜3 = リンク 1〜4)と、受け側の設定
5 Cue ListCue の進み方(下の「Cue の進め方」)。Go! で始め、行が上から順に進む
6 LJ Manager の設定このデモでは使いません
7 Cue List の一覧0001 MaxShow40=演出を順に回し続ける/0002=校正・追尾の説明だけ(音声案内つき・案内なし)/0003=画面の案内+本編を通しで(録画用)/0004=画面の案内だけ(0004 は次の配布版のデモから)。ここで選んで読み込む
8 Visualizer出ている光を立体で描く。上の 2 段がボタンの帯(下の「Visualizer」)
9 Art-Net モニターいま出ている DMX の値(下の「Art-Net モニター」)

メイン画面

メイン画面(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

上の段(①)の Seq/Cue/C-L の欄に、いま動いている Sequence・Cue・Cue List の名前が出ます(録画では C-L が「MaxShow40 Narration」)。その下が器具の操作パネルとボタンです。

器具の卓上(②)はアイコン 1 つが器具 1 台。右の 2 つの枠(③)は LED マトリクスのまとめボタンで、横 × 縦の画素数・色の形式(RGB 3ch)・使うチャンネル数(480ch=1 ユニバースにぴったり)を表示し、Q の欄で選んだ Cue にマトリクスエフェクト(Rainbow など)を登録します。

いちばん下(④)は状態の帯です。再生の状態(Finished=最後まで再生した)・Master(グランドマスター)の %、Art-Net の送り先と受け側の設定が並びます。

Cue の進め方(Cue List)

Cue の進め方(Cue List)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

左の窓(⑤)が Cue List の中身、右下の窓(⑦)が Cue List の一覧です。一覧で番号を選んで読み込み、Cue List の窓の Go! で頭から始めます(Back で 1 行戻る・Top で先頭へ)。

音声案内つきの Cue List は、最初の 2 行で MP Load File(メディアプレイヤーに音を読み込む)→ MP Play(鳴らす)。その下の Wait for MP at 00:00:03.22 のような行は、音の再生位置がその時刻に来たら、右の Cue(0001 Intro White など)を出します。最後の MP Stop で音を止めます。

Adv の「Auto」は、その行が済んだら自動で次の行へ進むという意味です。音の時刻で Cue を出すので、録画や PC の重さで音が遅れても、光は音に合わせて進みます(ずれません)。

★追尾のボタン操作(A・スティックなど)も、同じ音の時刻に合わせて自動で行われます(Cue List と同じ名前の予定表がライブラリにあるとき・LjStudio 独自)。

Visualizer

Visualizer(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

上の段: ライブラリ切替・Rig 編集・Fast Focus・Fan・Fan 形・器具 NO(番号の札)・取付矢印・部屋(Wireframe/Solid/なし)・詳細情報・Rig setup。下の段: 視点(正面・左・右・真上・裏)・枠を合わせる・元に戻す/やり直す・マーカー・届く範囲。

★校正マーカー(青い十字 P1〜P5)が消えたときは、下の段の「マーカー 5」のボタンを押すと、また出ます(数字はマーカーの数。マーカーが 1 つも無いライブラリでは押せません——Rig setup の校正マーカーの表で足します)。

いちばん下の帯に、いまの状態(再生中・最後の出力を保持中など)と、外部フェーダー・Art-Net の受信の様子が出ます。

Art-Net モニター

Art-Net モニター(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

いま出ている DMX の値を、1 マス=1 チャンネルで並べます。マスの中の数字が値(0〜255)、右の細いバーが値の大きさです。

左上の U がユニバース、P がページ、Ch が見えているチャンネルの範囲、pps が 1 秒あたりに届いているパケットの数です。← → でページ、↑ ↓ でユニバースを切り替えます。

このデモでは Universe 0(リンク 1)の 1〜260ch が前後のトラス(1 台 13ch)、LED マトリクスは Universe 1・2、左右のタワーは Universe 3 に出ます(LJ のリンク 1〜4 = Art-Net の Universe 0〜3)。

▲ 上へ

画面の見方

デモの最初の 1 分。器具と色、そして追尾で使う目印を確かめます。

動画 0:15器具の並び

器具の並び(デモの 0:15 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 0:15 / 2K で 0:15

ムービングライト 40 台を、前のトラス・奥のトラス・左のタワー・右のタワーの 4 組(各 10 台)に分けています。奥の左右に立っているのは LED マトリクス(1 面が横 16 × 縦 10 個)です。

最初は明るさを約 2 割に抑えてあります。40 台を一度に明るくすると画面が白く飛ぶためです。

動画 0:30カラービーム

カラービーム(デモの 0:30 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 0:30 / 2K で 0:30

ムービングはフルカラー(RGB)です。この場面は組ごとに色を分けたところ(赤・緑・青・こはく色)。LED マトリクスも同じ Cue で色が巡ります(明るさは半分)。

動画 1:02センターマークと校正マーカー

センターマークと校正マーカー(デモの 1:02 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 1:02 / 2K で 1:02

床の中央の小さな丸と十字がセンターマーク——器具全体の中心を床に落とした目印です。

青い十字の P1〜P5 が校正マーカー。会場の床に貼った目印の位置を測って入れたものです(下の「キャリブレーション」)。

追尾の説明のあいだは、組の違いを白の色み(色温度)だけで表します: 前トラス 3000K(暖かい白)・奥トラス 4500K・左タワー 6500K・右タワー 9000K(青みの白)。LED マトリクスは消灯しています。

▲ 上へ

基本の操作

追尾を入れて、組ごとに狙う点を動かします。

動画 1:15A で追尾を入れるA

A で追尾を入れる(デモの 1:15 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 1:15 / 2K で 1:15

A を押すと追尾が入り、組ごとの狙う点にひし形の印が出ます(組 1 赤・組 2 青・組 3 緑・組 4 こはく色)。

いま動かしている組(最初は組 1=前トラス)の印は太く大きく描かれ、その組の光だけが今の明るさになります。ほかの組は控えめです。

★A を押す前は、スティックを触っても点は動きません(うっかり触って跳ばないように)。

動画 1:23左スティックで点を動かす左スティック

左スティックで点を動かす(デモの 1:23 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 1:23 / 2K で 1:23

左スティックを倒すと、動かしている組の点が床の上を動き、組の 10 台がそろって付いてきます。

向きは客席側から舞台を見た向き: 上=舞台の奥、下=客席側、左右=そのまま左右。倒し切ると毎秒 4 m です。

点は部屋の中に収まります。押し続けても、壁や客席を向くことはありません。

動画 1:33RB で次の組RB / LB

RB で次の組(デモの 1:33 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 1:33 / 2K で 1:33

RB で次の組、LB で前の組に切り替えます。この画面は組 2(奥トラス・4500K)を選んだところで、奥トラスの光が明るくなり、ほかの組は控えめになります。

動画 1:42Y で全組をまとめてY

Y で全組をまとめて(デモの 1:42 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 1:42 / 2K で 1:42

Y を押すと 4 組をまとめて動かします。4 組の点の並びを保ったまま、一緒にずれます。全組が今の明るさになります。

もう一度 Y を押すと、1 組ずつの操作に戻ります。

動画 1:53X で中央へX

X で中央へ(デモの 1:53 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 1:53 / 2K で 1:53

X で、動かしている組の点を舞台の中央(センターマークの位置・床)へ戻します。迷ったらここへ。

▲ 上へ

細かな位置合わせ

狙いを少しずつ寄せる操作です。真上に近い視点で見ています(画面の上が舞台の奥)。

動画 2:08LT を押しながら、ゆっくりLT+左スティック

LT を押しながら、ゆっくり(デモの 2:08 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 2:08 / 2K で 2:08

LT を押しながら左スティックを倒すと、3 割の速さでゆっくり動きます。最後の数十センチを合わせるときに使います。

動画 2:13十字キーで 25 cm ずつ十字キー

十字キーで 25 cm ずつ(デモの 2:13 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 2:13 / 2K で 2:13

十字キーは、押すたびに 25 cm ずつ動きます(上=奥・下=客席側・左右)。スティックより確実に同じ量だけ動かせます。

動画 2:20右スティックで高さ右スティック(上下)

右スティックで高さ(デモの 2:20 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 2:20 / 2K で 2:20

右スティックを上に倒すと、狙う点が高くなります。床から点まで縦の線が伸び、点の高さにも小さなひし形が出ます。人の顔や胸の高さを狙うときに使います(高さは部屋の高さの半分まで)。

★右スティックは強く倒した向きだけが効きます(上下=高さ・左右=広がり。斜めでも両方は変わりません)。

動画 2:25右スティックの押し込みで床へ右スティック押し込み

右スティックの押し込みで床へ(デモの 2:25 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 2:25 / 2K で 2:25

右スティックを押し込むと、点の高さが床(0 m)に戻ります。

▲ 上へ

キャリブレーション(校正)

狙いと実際の光が合っているかを、測った目印で確かめて直す手順です。まず目で確かめる基本(この節)、次の節の「校正シーン」で 1 台ずつ確かめて記録し、自動で計算して直します。

全部の光が同じ向きにずれるマーカーの測り方か、舞台の中心の取り方を見直す(Rig setup の校正マーカーの表)
一部の器具だけがずれるその器具の吊り位置か取り付けの向きを、Rig setup で直す
本番直前の小さなずれ十字キーで寄せて、START+十字キーで記憶する

★④ ずれていたら、ずれ方で原因を分けます(上の表)。直したら ⑤ 別のマーカーでも確かめます。器具ごとの吊り位置とヨーを記録から自動で計算する方法は、次の節「校正シーン」にあります。

動画 2:55校正マーカーと吊り位置を入れる

校正マーカーと吊り位置を入れる(デモの 2:55 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 2:55 / 2K で 2:55

① 会場の床に、テープで目印を貼ります。舞台の中心(センターマークの位置)からの前後・左右の距離をメジャーで測り、Rig setup の校正マーカーの表に入れます。これが画面の青い十字 P1〜P5 です。

② 器具ごとの吊り位置(左右・高さ・前後)と取り付けの向きも、同じ Rig setup に入れます。狙いの計算は、この 2 つの表をもとに行います。

動画 3:13BACK+十字キーでマーカーへ跳ぶBACK+十字キー上

BACK+十字キーでマーカーへ跳ぶ(デモの 3:13 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 3:13 / 2K で 3:13

③ BACK を押しながら十字キーの上で、記憶 1=P1(奥の左)へ跳びます。動かしている組の 10 台が P1 を狙います。

実際の舞台では、光がテープに当たっているかを見ます。画面では、光の中心が青い十字に重なっていれば合っています。

記憶の番号は十字キーの向きです(上=1・右=2・下=3・左=4)。初めは校正マーカー P1〜P4 が入っています。

動画 3:58別のマーカーでも確かめる(P2)BACK+十字キー右

別のマーカーでも確かめる(P2)(デモの 3:58 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 3:58 / 2K で 3:58

⑤ 直したら、別のマーカーでも確かめます。BACK+十字キーの右で P2(奥の右)。

動画 4:00中央の P3BACK+十字キー下

中央の P3(デモの 4:00 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 4:00 / 2K で 4:00

BACK+十字キーの下で P3(中央)。2、3 か所で合えば、校正は完了です。

動画 4:16その場の微調整を記憶する十字キー → START+十字キー

その場の微調整を記憶する(デモの 4:16 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 4:16 / 2K で 4:16

⑥ 本番の直前に少しだけ狙いを直したいときは、十字キーで寄せてから、START を押しながら十字キーでその場所を記憶します(この画面は 25 cm 左へ寄せて記憶 1 に入れたところ)。次からは BACK+十字キーですぐに呼び出せます。

★手で記憶した場所は、Rig setup を保存し直しても消えません。ライブラリを替えると初め(校正マーカー)に戻ります。

▲ 上へ

校正シーン(RT)——1 台ずつ確かめて、記録して、自動で計算する

マーカーに器具の光を 1 台ずつ当てて確かめ、ずれていれば寄せて記録し、記録から吊り位置とヨーを計算して直します。

校正シーン中のゲームパッド(Xbox 配列)。RT で入る/出る。左スティックで光を寄せ、A で記録して次へ、X で要調整、Y でやり直し(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

校正シーンに入るRT

校正シーンに入る(実際の画面・MaxShow40 の写しで撮影)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

入ると、ムービング全台がマーカー用のビームサイズで自動で点きます。調べる 1 台だけが白く明るい細い光になり、ほかの器具は暗い色変化の光になるので、明るい光の当たり方だけを見ればすみます(この画面では、床の青い十字 P1 に白い光が乗るかを見る)。

上端の琥珀色の帯に、何番の器具を・どのマーカーへ・ずれ・このマーカーで済んだ台数・記録の点数(「あと 3 点以上で計算できます」)・次に押すボタンが出ます。狙っているマーカーは大きく光ります。

入り方は 4 つ(どれでも同じ状態になります): パッドの RT/Q ボタン(名前が Calibration の Cue を呼ぶ)/Visualizer の[校正シーン]ボタン(2 段目の右端)/AI から calscene on。MaxShow40 には Cue 28「Calibration」が入っています。

★入っているあいだ、追尾の操作は効きません(ボタンの役目が下の図に替わります)。ショーを読み込んでいるときに効きます。

光を目印へ寄せる左スティック

光を目印へ寄せる(実際の画面・MaxShow40 の写しで撮影)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

調べている器具の光が目印(テープ)からずれていたら、左スティックで光を目印へ寄せます(上=奥・下=客席側・左右=左右)。LT を押しながらで 3 割の速さのゆっくり、右スティックの押し込みで寄せたぶんを元へ戻します。

この画面は、光を右へ 0.80 m・奥へ 0.50 m 寄せたところです(帯に「ずれ 右0.80 m・奥0.50 m」)。実物の舞台では、光がテープに乗るまで寄せます。十字キーの ↑ ↓ で光の太さも変えられます。

A で記録して次の器具へA / X / Y

A で記録して次の器具へ(実際の画面・MaxShow40 の写しで撮影)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

光が目印に合ったら A。その器具の Pan/Tilt(寄せたあとの値)を校正の記録(LjStudio.calib.json)へ書いて、次の(まだ印の無い)器具へ進みます。寄せていなければOK、寄せたなら要調整の印になり、要調整の器具は白い約 60% の光で残ります(一巡したあと、どの器具が直しの対象かが明るさで分かります)。

この画面は、前トラスの #4 を「計算どおりで合っていました(ずれなし)。記録しました」で済ませ、#5 へ進んだところです(帯に「このマーカーで済 4/40」)。

目印に届かない・いまは合わせられない器具は X(記録せずに要調整)。間違えたら Y でその器具をやり直します。

そのマーカーで全部の器具が済んだら、十字キーの → で次のマーカーへ進み、同じことを繰り返します(印とずれはマーカーごと)。3 か所以上のマーカーで記録がそろえば計算できます(4 か所あると確実です)。

Rig setup の[校正から計算…]Rig setup

Rig setup の[校正から計算…](実際の画面・MaxShow40 の写しで撮影)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

記録がそろったら、Rig setup のいちばん下の[校正から計算…]を押します(ボタンは 2 段目・[Scene 取込…]の右。窓の幅が狭いときはボタンの行が折り返して 2 段になります)。3 か所以上の記録がある器具ぜんぶについて、吊り位置(X・Y・Z)と取付のヨーを計算した結果の一覧が出ます。

一覧には、器具・使ったマーカー・マーカーごとの誤差・判定・いまの値 → 計算した値が並びます。確かめてから[反映]を押すと、LjStudio.rig.json へ書きます(書く前に控え LjStudio.rig.json.bak を 1 世代取ります・[元に戻す]で戻せます)。look・cellPitch・spot・optics など、ほかの欄はそのまま残ります。

AI からは calib solve(下見だけ・書かない)→ calib apply(書く)→ calib undo(戻す)。

計算の結果(実際の出力)

MaxShow40 の前トラス 4 台(#1〜#4)について、4 か所のマーカー(P1・P2・P4・P5)に「合った」で記録して calib solve を実行した、 実際の出力です(★寄せずに記録したので、計算した位置は現在の値と一致し、判定は「良い」になります。実物では、ずれている器具の値が直ります)。

#1 Front 01良い(最大の誤差 0.1 cm・4 点) (-6.8, 6.5, 3.0) / 294° → (-6.7, 6.5, 3.0) / 294°
#2 Front 02良い(最大の誤差 0.1 cm・4 点) (-5.3, 6.5, 3.0) / 300° → (-5.3, 6.5, 3.0) / 300°
#3 Front 03良い(最大の誤差 0.1 cm・4 点) (-3.8, 6.5, 3.0) / 309° → (-3.7, 6.5, 3.0) / 309°
#4 Front 04良い(最大の誤差 0 cm・4 点) (-2.3, 6.5, 3.0) / 323° → (-2.3, 6.5, 3.0) / 323°

書式は「いまの 位置(X, Y, Z) / ヨー → 計算した 位置 / ヨー」(メートル・度)。誤差は、マーカーの高さの水平面で、ビームの落ち先とマーカーの距離です。

判定「良い」最大の誤差が 5 cm 未満
判定「要確認」5〜20 cm。記録した点(特に「要調整」の器具)と、マーカーの測り方を見直す
判定「悪い」20 cm 以上。calib apply は force を付けないと書かない(窓の[反映]も初めはチェックなし)

★計算を断る場合(理由を日本語で出し、何も書きません): 違うマーカーが 3 か所未満/マーカーどうしが 2 m 未満/マーカーがほぼ一直線/計算が収まらない(発散)。

★コツ: マーカーは 3 か所以上、数 m 離して一直線に並べない。高さの違う点を 1 つ混ぜると効きます。反映したら、追尾を入れて BACK+十字キーで P1〜P4 へ跳び、光がテープに乗るかを見て確かめます。

▲ 上へ

仕上げの操作

動画 4:28右スティックの左右で広がり右スティック(左右)

右スティックの左右で広がり(デモの 4:28 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 4:28 / 2K で 4:28

右スティックを右へ倒すと、組の光が狙う点を中心にした円の上へ等分に広がります(最大で半径 4 m)。左へ倒すと縮み、倒し続けると全台が 1 点に戻ります。

器具は自分の側の円の点を受け持つので、ビームが交差しにくくなっています。

動画 4:35左スティックの押し込みで全組を集める左スティック押し込み

左スティックの押し込みで全組を集める(デモの 4:35 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 4:35 / 2K で 4:35

左スティックを押し込むと、全部の組の点を、いま動かしている組の点へ集めます。40 台が 1 点に集まります。

動画 4:40B で追尾を解くB

B で追尾を解く(デモの 4:40 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 4:40 / 2K で 4:40

B で追尾を解くと、次の瞬間に Cue の絵(元の向き)へそのまま戻ります。

★追尾が上書きするのは向き(Pan/Tilt)だけです。明るさ・色・ゴボは Cue のまま動きます。Scene には書き込みません。

▲ 上へ

デモの最後

動画 4:53ゴボの模様と回転

ゴボの模様と回転(デモの 4:53 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 4:53 / 2K で 4:53

Visualizer は、LjStudio のデモ器具のゴボの模様(床)と、模様の穴ごとに分かれた空中の光、その回転も描きます。

動画 5:13総合演出

総合演出(デモの 5:13 あたりの実画面)(押すと原寸・もう一度押すと戻る)

▶ この場面を動画で見る: 5:13 / 2K で 5:13

色・ゴボ・動き・LED マトリクスを重ねた総合演出です。

▲ 上へ

説明映像づくり(JOY の参考画面・全タイミングの調整表)

★この節の機能は近日配布予定 —— JOY の参考画面と全タイミングの調整表は、まだ配布中の LjStudio には入っていません。次のアプリ配布版で使えるようになります(配布したらこの注記は外します)。

ゲームパッドを押している動作だけを見せる小さな窓(JOY の参考画面)を、音声解説の進みに合わせて出せます。外部の動画ではなく LjStudio 自身が描き、音声・Visualizer・パッド操作と同じ時計(ショーの時刻)を読むので、別の時計を持たず、原理的に音とずれません。

出し方解説つきの Cue List(0002・0003)を頭から再生すると、決めた行で自動で開く。Cue List の窓では、その行の Comment 列に「Intro White + JOY video START」と出ています。Visualizer の[パッド確認]でも開けます(再生中なら音に同期・止まっていれば見た目確認のくり返し)
閉じ方最後のボタン操作の 5 秒後に自分で閉じる(窓の下に「あと何秒で閉じます」)。ショーを止めても窓は閉じない(× で閉じる)。位置と大きさは覚えていて、次に同じところへ開く

全タイミングの調整表(映像同期の「修正時間」)

予定表の 1 行が 1 つのタイミング箇所です(視点・追尾・ボタン・JOY 映像の起動など、Cue List に連動して撃つ命令すべて)。それを表にして、ずれている箇所の時刻を直せます。JOY の窓を右クリック →「タイミング調整表を開く」(AI からは timing)で開きます。

表の列# / 元の時刻 / 種類 / 内容 / 全体 / この行の修正(秒・+遅く・-早く) / 修正後の時刻
修正後の時刻= 元の時刻 + 全体 + その行の修正。修正した行は黄色になります
操作全体(一斉)の大きな ± / 全部 0 にする / 保存 / 読込(元に戻す) / ロック(うっかり防止・最初から入っている)

★保存を押すまでファイルには残りません。開き直す・読込で、保存済みの値へ戻ります(Cue List ごとに別々に保存)。

★JOY の絵はすぐ変わります。命令を撃つ時刻(視点・追尾・ボタン)は、次に予定表が走り始めるときから効きます。

操作の早見表

A追尾を入れる(最初に)
B追尾を解く(Cue の絵へ戻る)
X動かしている組の点を中央へ
Y全組をまとめて動かす(もう一度で 1 組ずつ)
RB / LB次の組 / 前の組
左スティック点を動かす(上=奥・下=客席側)
LT を押しながらゆっくり(3 割の速さ)
十字キー25 cm ずつ動かす
右スティックの上下点の高さ
右スティックの左右広がり(円に散らす・1 点へ戻す)
左スティックの押し込み全組を、いまの組の点へ集める
右スティックの押し込み高さを床へ戻す
START+十字キーいまの点を記憶(上 1・右 2・下 3・左 4)
BACK+十字キー記憶した点へ跳ぶ(初めは校正マーカー)
RT校正シーンに入る/出る(「校正シーン」の節)

★AI からも同じ操作ができます(track on/track at/track spread/pad press など。LjStudio の取扱説明書「手順:ゲームパッドで一斉追尾する」)。

▲ 上へ

調べてわかったこと —— 校正の考え方・20 世紀の実例・日本の市場

2026-09-28、開発者の疑問「校正は印に合わせるだけでよいのか。器具の高さや水平はどうなるのか。昔はどうやっていたのか」に答えるために調べた内容です。 上の操作説明の背景にあたります(操作だけ知りたい人は、読まなくて構いません)。

★事実には印を付けています。【確認】=原本(マニュアル・特許・製品ページ)で読んで確かめたもの/ 【未照合】=調査した人の報告で、原本との突き合わせはまだのもの/【推測】=根拠はあるが確かめていないもの。

出発点の疑問(開発者の話を整理)

背景: 追尾システムを Windows 95 の頃から作ってきた。その製品が EyeTrack で、昔は M32 Duo2、今は STM32F4xx(SW16LCD)で開発し、15 年以上にわたり 100 セット以上を出荷している(開発者の申告)。EyeTrack は完全な自動追尾ではなく、操作する人が狙う点を動かして、 複数のムービングをそこへ向ける型。校正(キャリブレーション)の考え方を知って、大きな発見があった。

  1. 校正は「印に合わせるだけ」でよいのか。器具の高さや水平は、どこでどう扱われるのか(取扱説明や案内を見ても、詳しい方法が分かりにくい)。
  2. 映像(カメラ)を持たない STM32(F4 系)の機器でも、校正だけはネットワーク経由の Web ブラウザでできるのではないか。
  3. MS-DOS 級の古いコンピュータで、20 世紀の終わり頃に、4 台ほどの校正はできていたのか。当時は校正という考え方そのものを知らなかった。
  4. 2000 年代は、追尾システムをどのように作っていたのか。
  5. いま日本で売られている追尾システムは何か。あまり出回っていない気がする。

先に答え

  1. 校正は「印にビームを合わせて、そのときの Pan/Tilt を記録する」だけでよい。あとは計算です。高さと水平は、器具の位置(高さを含む)と取付の向き(傾きを含む)を 未知数にして一緒に解くので、別に測る必要はありません。ただし、印の座標と吊り位置を測る精度が、最終の精度の限界になります。
  2. LjStudio がいま解くのは、位置(X・Y・Z)と取付ヨーです。取付の傾き(前後・左右)は解きません。傾きが 0.5° ほどまでなら困りませんが、1° を超えると狙いが大きく外れます(数値実験)。
  3. 20 世紀のうちにありました。1999 年までに 3 系統の製品(うち 2 つは原本を読んで確認)が、器具を 4 点(〜5 点)へ向けて位置と向きを逆算していました。方式は 1997 年の特許にも書かれています。
  4. 2000 年代は、追尾ヘッド(人が三脚型のヘッドで演者を追う)・超音波のトランスポンダ・卓の XYZ 機能が中心でした。センサーで自動校正する方式は 2010 年代以降です。
  5. カメラが無くても、ブラウザからの手動校正は成り立ちます(ビームを見る人の目がセンサー)。商用の先例も多数あります。
  6. 日本では、人が遠隔で狙う型の製品が中心です(EyeTrack もこの型)。センサー式の自動追尾は、国産では CONCERTO II(超音波)と SALIOT(赤外線マーカー)、輸入品では BlackTrax などです。

1. 校正の考え方 —— ムービングライトは「角度計」

ムービングライトは、Pan と Tilt の 2 つの角度を測れる装置で、測量の経緯儀(セオドライト)と同じ仕組みです。位置が分かっている印にビームを合わせ、 そのときの角度から、器具の位置と向きを逆算します(測量では「後方交会法」と呼ばれる古典的な問題です)。

トラス(吊り位置) 高さ(Z) Tilt₁ Tilt₂ P1 P2 床の印は座標を測ってある Pan は真上から見た向き(水平面の角度)
真横から見た図。Tilt は真下から測った角度。同じ印でも、吊りが高いほど Tilt は小さく(真下に近く)、低いほど大きくなる。 2 か所以上の印の Tilt の違いから、高さが逆算できる。
知りたいもの未知数LjStudio
吊り位置(高さを含む)X・Y・Z解く
正面の向き取付ヨー解く
水平からの傾き前後の傾き・左右の傾き解かない(0 と仮定)

1 か所の印で、Pan と Tilt の 2 つの式が得られます。未知数が 6 つ(位置 3+向き 3)なら、3 か所でちょうど解け、4〜5 か所で最小二乗にすると、 目で合わせた誤差がならされて、答え合わせもできます。位置を巻尺やレーザー距離計で測ってある場合は、向きの 3 つだけを解けばよく、少ない点で済みます。

LjStudio の実際の手順(校正シーンで印へ寄せて記録 → [校正から計算…])は、上の節「校正シーン」にあります。

数値実験でわかったこと(2026-09-28)

条件: 器具の高さ 6 m・舞台の左右前後 ±5 m ほどの床の 4 点・目で合わせる誤差 0.3°(8 m 先で約 4 cm と仮定)・位置の初期値は 30 cm ずれ・ 各条件 300 回の平均・理想的な器具(遊びや可動角の誤差なし)。値は「解いた結果で狙わせたとき、実際の光が印から何 cm 外れるか」を、顔の高さ(1.6 m)で見た平均です。

取付の傾き(前後/左右)LjStudio の現在
位置 3+ヨー
傾きも解く
位置 3+向き 3
0°/0°(水平)4.9 cm7.9 cm
0.5°/−0.5°7.8 cm8.0 cm
1.5°/−2.0°24.2 cm8.5 cm
3.0°/−3.0°38.9 cm7.8 cm
  • 傾きが 0.5° ほどまでなら、いまの方式で足ります(未知数が少ないぶん、水平ならむしろ良い)。1.5° あたりから急に悪くなります。 通常のトラス直吊りなら足りますが、斜め吊り・傾いたタワー・たわみの大きい所は、傾きも解く方式が要ります(今後の検討課題です)。
  • 参考: 位置を正しく入れ、傾きを無視して向きだけを合わせる従来型では、傾き 1.5°/−2.0° で顔の高さの平均が約 49 cm 外れました。 傾きを無視すると、向きをどう合わせても全体が合わず、試行錯誤が続きやすくなります【推測】。
  • 高さは、床の 4 点だけでも復元できます(高さの誤差 4 cm 程度)。高さの違う点(1 m・2 m)を混ぜると 2.8 cm に縮み(約 3 割減)、顔の高さの誤差も約 2 割減りました。「顔の高さを狙う」使い方では、混ぜる価値があります。
  • 印の間隔が 1 m しかないと壊れます(向きが 11° ずれ、顔の高さで 130 cm 外れました)。「数 m 離す」「一直線に並べない」は守ってください。
  • 位置を測って固定し、向きだけを解く場合は、位置の測り誤差がそのまま出ます(床の点で 2 cm → 4 cm、10 cm → 11 cm、30 cm → 29 cm、60 cm → 57 cm)。
  • 目で合わせる誤差は、ほぼ比例します(床の点で 0.05° → 約 1 cm、0.3° → 約 5 cm、0.6° → 約 11 cm、1.0° → 約 17 cm)。 ビームを細く絞ること、Pan/Tilt が 16 ビットであることが効きます。

★限界: 器具は理想的(遊びなし・可動角の誤差なし)、初期値は 5° 以内、0.3° は仮定の値です。Pan/Tilt のスケールの誤差は未知数に入れていません。 初期値がでたらめな場合(半回転した解)は確かめていません。実物での確認はこれからです。

計算量: 5 点・6 未知数の 1 回の解で、角度の計算が約 430 回(浮動小数演算で約 10 万回)でした。486 級のパソコンで 0.1 秒ほど【推測】です。

2. カメラの無い機器で、ブラウザから校正する

手動で記録する型は、映像が要りません。ビーム中心を見る人の目がセンサーです。ブラウザに必要なのは 3 つだけです。

  1. Pan/Tilt を細かく動かすスティックの画面
  2. 「この印に合った」で記録するボタン
  3. 解いた結果の誤差(度と cm)の表示

商用の先例(いずれも既知の印を狙って記録し、位置と向きを解く型):

grandMA3P1〜P4 の座標を入れ、実際のビームを狙って「Store」。3 点でも可・4 点が最良。ブラウザ操作の Web Remote があるが、校正の窓が使えるかは【未照合】
ETC Eos実測した 4 点以上を、フォーカスパレットに記録して位置と向きを推定。点が離れるほど精度が上がる【未照合】
ChamSys MagicQ4 つの位置パレット。16 ビットの Pan/Tilt と、最小のドットで狙うことを勧めている【未照合】
Follow-Meステージ上の 4 点を実測して校正。器具ごとの精密化の機能がある【未照合】
DMXDesktop6 点(四隅と上下の中点)を、スライダーで狙って「Save Point & Next」【未照合】
  • 解く計算の置き場所は、ブラウザ(JavaScript)でもマイコン(Cortex-M4F でも約 10 万演算)でも足ります。ブラウザで解けば、誤差の表示や前の解との比較が作りやすく、 マイコンは結果を保存するだけで済みます。
  • カメラ補助は制約が多い。スマホのブラウザからカメラ(getUserMedia)を使うには HTTPS が要り、素の http:// のサーバーでは使えません【推測・ブラウザの仕様・未実測】。 パソコン側のアプリがサーバーになる構成のほうが扱いやすくなります。
  • スマホのカメラでビームを検出して校正する製品や OSS は見つかりませんでした。近い例は、zactrack の特許(床の光センサーで自動校正。「光センサーはスマートフォンでもよい」と明記。2017 年優先)と、 SlyLED(OSS・専用のカメラノードでビームを検出・非商用ライセンス)です【未照合】。

★zactrack の特許に近い自動化を作るときは、実装の前に請求項の確認を(ここでは請求項の範囲まで読んでおらず、法的な判断ではありません)。 手動で記録する型は、他社が広く使う型で、この特許とは別のものです。

3. 20 世紀にできていたか —— できていました

Flying Pig
Wholehog II
取扱説明 v3.2(著作権表記 1995–1999)。「全器具を 4 つの校正点へ向けて Calibrate」。舞台の長方形の 4 隅を 4 つのフォーカスパレットに記録し、 会場が変わるたびに再校正すれば、XYZ で作ったパレットが新しい会場向けに自動で直る。「Accuracy is quite important」と、アイリスを絞って合わせることを勧めている。【確認】
Avolites
Sapphire 2000
取扱説明の初版は 1999 年 7 月。舞台上の正方形の 4 隅へ全器具を向けて「Define the stage」を実行すると、卓が「数分」かけて計算する。 床ではなく人の頭の高さを狙うこと、Pan の限位置は舞台と反対側にし Tilt は 50% 未満で教えること、と注意書きがある。【確認】
Martin
TrackPod
1999 年発売。Windows 95/98・Pentium 233・ISA カードの PC で動く。ライトを 4 点(2001 年版は 5 点)へ向けて、位置と向きを求める。開発元は APR(カナダ)。【未照合】
APR の特許
US 6,529,853
優先日 1997-07-21。4 つの校正点(どの 3 点も一直線にならない)へ pan/tilt を向けて測り、位置 X・Y・Z と 3 つの回転のずれ、合わせて 6 つの値を数値の反復で計算する。 「ライトも同様に校正する」と書かれている。【確認】

つまり、4 点・6 未知数の方式は、1997 年に文書になり、1999 年までに製品になっていました。MS-DOS の世代に限った製品の記録は見つかっていませんが、 計算量(上の実験)と、1990 年代の卓(Avolites は 1 台で 10 秒〜数分【未照合】)から、386 級でも数秒〜数十秒で解けたはずです【推測】。 卓の奥の機能で、大きくは宣伝されていなかったようです【推測】。

年表(1975〜2020)を開く

★の行は原本を読んで確かめたもの。ほかは調査した人の報告で、原本との突き合わせはまだです。

1975NASA の特許。劇場の演者を、電波/超音波の発信器で自動追尾するスポットライト
1987丸茂電機の特許。超音波発信器と検出器 2 個で位置を出し、スポットライトを追尾させる(日本)
1989–90応用計測研究所(TV カメラ追尾)・丸茂電機と放送局(スタジオ平面図で照射点を指定すると Pan/Tilt を計算。校正は無く設計座標)の特許(日本)
1991Vari-Lite の特許。目標点と器具の座標から Pan/Tilt を計算する(順方向だけ)。実機で照準して補正する手順は無い
1992ウシオユーテックの特許(優先)。携帯した超音波発信器を 3 個以上の検出器で受け、3D 座標を出して照明器具を向ける(日本)
1993–94Wybron Autopilot(赤外+超音波)。初代は器具の XYZ と向きを手で入力する方式。発売年は出典で 1993〜1995 とぶれる
1995〜★Wholehog II 生産開始。XYZ の 4 点校正の初出年は不明(取扱説明 v3.2 は 1995–1999)
1996松下電工の特許(優先)。CCD 画像で追尾。従来法の欠点に「取付位置の事前入力に大きな労力」と明記。設置時に目視で照射方向を合わせて、図面とのずれを吸収(日本)
1997-07★APR の特許。4 点・6 未知数・数値反復
1999★Avolites Sapphire 2000(1999 年 7 月)。Martin TrackPod 発売。松下電工の技報(自動追尾フォロースポット)
2003Martin Maxxyz 1.0(3D ビジュアライザーと、画面クリックで器具を向ける Fast Focus)
2005 以前Wybron Autopilot II。ライトを 4 つのスポットへ向けると位置を自動計算(導入年は不明)
2010Cast BlackTrax(赤外 LED ビーコン+赤外カメラ)
2013Follow-Me 創業(2000 年代のシステムではない)
2017zactrack の校正の特許(床の光センサー)
2020ETC Eos の Augment3d・ChamSys の XYZ 位置指定

4. 2000 年代のやり方

  • 追尾ヘッド方式: 三脚型のヘッドを人が動かして演者を追い、その pan/tilt から位置を出す(Martin TrackPod。2001 年版の取扱説明あり)。
  • 超音波のトランスポンダ方式: Wybron Autopilot(1994 年発売・約 2 万 5 千ドル)。演者が持つ発信器の位置を、天井の受信機で測る。 初代は器具の位置と向きを人が入力し、「ライトを 4 つのスポットへ向けると位置を自動計算」は Autopilot II 以降(遅くとも 2005 年)。初代は、設置と校正が難しい・不安定という現場の書き込みが残っています【未照合】。
  • 卓の XYZ 機能: Wholehog II・Avolites(4 点を狙って教える)。Martin Maxxyz(2003 年・3D ビジュアライザーと Fast Focus。校正は確認できず)。 Vari-Lite は 1991 年の特許が順方向のみで、逆算校正の記録は見つかりませんでした。
  • センサー時代の始まり: BlackTrax(2010 年)、zactrack の校正の特許(2017 年)。Follow-Me は 2013 年の創業で、2000 年代ではありません。
  • 「resection(後方交会法)」という言葉を、舞台照明の特許・取扱説明・論文で使った例は見つかりませんでした(網羅的な調査ではありません)。業界の言葉は、 Calibrate・four calibration points(Hog II)、training・Define the stage(Avolites)、4-point calibration(Follow-Me)などです。

5. いま日本で売られている追尾システム

製品方式日本の取扱
BlackTrax赤外ビーコン+赤外カメラ(自動)販売: アークベンチャーズ/レンタル: 竹中
Follow-Me手動(マウス・コンソール)が中心。自動の TraXYZ は、取扱会社の頁で「近日発売予定」の表記Technical Supply Japan(総代理店)
Robe RoboSpotカメラ付きの遠隔手動操作(自動ではない)LTG
Robert Juliat SpotMe手動のフォロースポットの動きを、他のムービングへ連動RJ Industry Japan
PRG GroundControl遠隔手動(レンタルのみ)PRG
zactrackUWB タグ日本の取扱会社は見つからなかった
国産: ウシオライティング CONCERTO II超音波(ソナー)を携帯した対象を追従。自動/手動。DMX512 対応自社(結婚式場・宴会場向け)
国産: メディアフェイス EYE Trackムービング 4 台にカメラを載せ、モニターを見てジョイスティック 1 本で追従(手動)メディアフェイス(ホテル・ブライダル想定)。★開発者が納めている製品(下の注記)
国産: ミネベアミツミ/コイズミ照明 SALIOT赤外線のマーカーを追う小型スマート照明(美術館・商業施設向け)自社・コイズミ照明

★メディアフェイスの「EYE Track(アイトラック)」は、開発者が納めている製品(EyeTrack)です。昔は M32 Duo2、今は STM32F4xx(SW16LCD)で開発し、15 年以上にわたり 100 セット以上を出荷しています(開発者の申告)。 上の表の中で、手動で追う型の、実績のある国産品の 1 つです。

  • 日本語のページで確認できた製品の大半は、人が遠隔で狙う型でした。「日本の主流は手動追尾で、完全な自動は大きな案件に限られて目立たない」というのは、 状況証拠からの【推測】です(そう断言した記事は見つかりませんでした)。価格はいずれも非公表か問い合わせです。
  • 国内の導入事例は、BlackTrax(展示会・イベント)のほかは見つかりませんでした。zactrack の日本の取扱会社、SpotMe・RoboSpot・GroundControl の国内での事例も見つかっていません。
  • 日本の 1979〜1999 年の特許・文献(松下電工・丸茂電機・ウシオ・応用計測研究所など)は多数ありますが、自動追尾の実運用の記録は、 1994 年に丸茂電機が放送局へリモコン設備を納めたことしか確認できませんでした。

6. 1999 年の取扱説明から取り入れたい注意点

  • ビームを絞って合わせる(Hog II)。目で合わせる誤差が、そのまま精度になるため。
  • 床ではなく人の頭の高さを狙う(Avolites)。足元を狙うと、ビームの交わる位置がずれる。数値実験でも、高さの違う点を混ぜると顔の高さの精度が上がりました。
  • Pan の限位置は舞台と反対側に置き、Tilt は 50% 未満に保って教える(Avolites)。Tilt が 50% のあたりでは Pan が定まらず、追尾の途中で器具が半回転(フリップ)することがある(Hog II も同じ注意)。 LjStudio の「回り込み」(同じ点へ届く 2 通りの向きの選び方)と同じ論点です。
  • 4 点は「舞台の要素に対して同じ位置」に置き、器具を動かしたら再校正する(Hog II)。会場ごと・吊り替えごとに校正し直す前提で、手順を短くしておく。

7. まだわかっていないこと

  • APR の特許の原文の逐語(公開ページの記載で確かめた段階)。TrackPod と APR の関係、Avolites Diamond II の「1 台約 10 秒」、TrackPod の PC 仕様は、調査した人の報告のままです。
  • Hog II と Avolites の XYZ 校正の初出の年、Wybron が「狙って逆算」に移った年。
  • 数値実験の、初期値がでたらめな場合の収束と、Pan/Tilt のスケール誤差を含めた場合。実物の器具での確認。
  • 取付の傾き(前後・左右)を LjStudio で解くかどうか(絵への反映も含めた検討)。
出典(リンク)を開く

20 世紀の製品・特許

2010 年代以降の校正

日本

▲ 上へ

← LightJockey 関連資料目録トップへ