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PCM1802 + STM32F407VET6 音同期ガイド

更新日: 2025年10月20日 | カテゴリ: 組み込みシステム・音響DSP

📋 目次

概要・特徴

🎵 高精度音楽同期照明システム
RCAライン入力からリアルタイム音楽解析を行い、DMX照明と高精度同期させるシステムの技術ガイド。ハードウェア構成、DSP解析パイプライン、将来拡張性まで詳細解説。
Roland VC-1-DMXから。安価量産設計をもとに計画。

🚀 主な優位性

3D構成イメージ

できました!こちらが、利幸さんの構成「PCM1802 + STM32F407VET6 + UART出力 → 音楽同期照明制御」の3Dイメージです:

PCM1802 + STM32F407VET6 DSPシステム

🧠 イメージの構成要素(3D視点)


このイメージは、利幸さんの構成を視覚的に理解しやすくするために設計されています。照明演出やDMX制御を加えたバージョンも描けますので、必要なら次のステップに進めましょう!

ハードウェア構成

🎤 音声入力部

  • ADC: PCM1802 (24bit)
  • 入力: RCA L/R(ラインレベル)
  • フィルター: RC ローパス 100Ω/100nF
  • 接続: I2S → STM32F4

🧠 処理部

  • MCU: STM32F407VET6 (ARM Cortex-M4F)
  • クロック: PLLI2S 有効化
  • DMA: Ping-Pong バッファ (256samples×2)
  • DSP: CMSIS-DSP ライブラリ

接続構成

RCA入力 → [RC Filter] → PCM1802 → I2S → STM32F407VET6 → DMX出力
                                    ↑
                              24.576MHz MCLK
                              (必要に応じて外部生成)

電源・GND設計

ファームウェア構成

I2S・DMA設定

データフロー

PCM1802 (24bit左詰め) → DMA → Ping-Pong Buffer 
                                        ↓
float32変換 → 前処理 → FFT → バンド集約 → DMX出力
⚡ リアルタイム設計
割り込み内では最小限の処理に留め、CMSIS-DSP呼び出しはRTOSタスクまたはメインループで実行することで安定性を確保。

DSP解析パイプライン

🔄 処理ステップ

  1. 前処理
    • DCオフセット除去(移動平均)
    • ハニング窓適用でスペクトル漏れ抑制
  2. FFT変換
    • arm_rfft_fast_f32で512/1024ポイントFFT
    • 複素数→実数パワースペクトル変換
  3. バンド集約
    • 人間の聴感帯域に合わせて8〜16バンドへ統合
    • arm_mean_f32/arm_sum_f32でエネルギー算出
  4. 正規化・AGC
    • arm_max_f32でピーク検出
    • 各バンドを0.0〜1.0範囲にスケーリング
  5. ビート検出
    • 短時間エネルギー(STE)と一次差分利用
    • beat_gain閾値超えで候補抽出
    • beat_refractory_framesで誤検出抑制

📊 出力データ構造

typedef struct {
    uint32_t timestamp;        // タイムスタンプ
    float band_level[16];      // バンド別エネルギー(0.0-1.0)
    uint8_t beat_flag;         // ビート検出フラグ
    float overall_rms;         // 全体RMSレベル
    float tempo_bpm;           // 推定BPM (将来拡張)
} audio_analysis_t;

参考実装関数

🔧 コア関数

💡 実装のポイント
24bit左詰めデータの正規化には 1<<23 スケールを使用。CMSIS-DSPとの親和性を重視した設計です。

DMX演出への統合

🎨 演出マッピング例

🔗 統合パイプライン

audio_analysis_t → normalScene/seasonPreview → DMX出力
                 ↓
        16色カラーボックス可視化(デバッグ用)
🎯 高度演出の可能性
既存のnormalScene/seasonPreviewパイプラインへの注入により、音楽同期と従来演出の融合が可能。

チューニングと検証

🧪 検証プロセス

  1. 基本動作確認
    • サイン波・ホワイトノイズ注入でFFTピーク確認
    • バンドレベルの想定値チェック
  2. レベル校正
    • 0dBV入力でRMS=0dBFSに調整
    • PCM1802 PGA・外部利得の最適化
  3. レイテンシ測定
    • 入力→DMX出力遅延をオシロで測定
    • 演出要件(<20ms)の達成確認
  4. 実音源テスト
    • ジャンル別(EDM/Rock/Jazz)での挙動確認
    • 閾値・AGCパラメータの最適化

将来性と拡張可能性

🤖 高度音楽解析への発展

🌐 空間音響・立体演出

🧠 インテリジェント演出システム

🔗 システム統合・商用展開

Roland VC-1-DMX との比較優位性

比較項目 PCM1802+STM32 Roland VC-1-DMX 優位性
音楽解析精度 可変バンド数・カスタムアルゴリズム 15バンド固定 ★★★★★
レイテンシ <10ms(調整可能) 不明 ★★★★
カスタマイズ性 完全プログラマブル 設定ツールのみ ★★★★★
コスト $50-100 $1000+ ★★★★★
開発自由度 オープンソース クローズド ★★★★★
映像入力 非対応 HDMI対応
完成度・安定性 要開発 商用製品 ★★
サポート コミュニティ 公式サポート ★★

🎯 推奨用途

✅ PCM1802+STM32 推奨

  • 音楽専用の高精度同期
  • カスタム演出・独自アルゴリズム
  • 教育・研究・プロトタイピング
  • コスト重視・大量導入
  • オープンソース・コミュニティ開発

✅ Roland VC-1-DMX 推奨

  • 映像+音楽の統合演出
  • 即座運用・安定性重視
  • 商用環境・公式サポート必須
  • 設定の簡便性重視
  • ブランド信頼性・保証重視