更新: 2026-08-31 20:08
この報告の要点
- 自作の再生ソフトが LightJockey 実機と寸分違わぬタイミングで動くことを確かめました。
- 60 秒間のループ再生を計測したところ、時刻のズレは 0 ミリ秒でした(ループの継ぎ目をまたいでも変わりません)。
- 出力される信号(512 ch の明るさ情報)も 99% 以上が完全一致しました。
- これは、DMX レコーダーを使わずにタイムコードで本番を進行するという構想が、技術的に成立することを示す結果です。
1. 何を確かめたかったのか
従来、DMX の出力を見ているだけでは「いま何秒目を再生しているか」は分かりませんでした。それでは、自作の再生ソフトが LightJockey と同じ速度で動いているかどうかを確かめる手立てがありません。
そこで、再生時刻そのものを信号に埋め込んだ特殊な試験データを作り、LightJockey と自作ソフトの両方に同時に再生させて、出てくる信号を 1 バイト単位で突き合わせる方法を用意しました。
2. 試験の方法(概要)
60 秒間のシーンを 120 コマ用意し、経過時間を「数値」「光の帯」「色」という 3 つの方法で同時に信号へ埋め込みました。数字を読まなくても、色や光の並びを左右の画面で見比べるだけでズレが分かる仕組みです。
- 追従モード:LightJockey の切り替わりに自作ソフトを都度合わせ、値そのものの違いを見る
- 自走モード:最初の一致だけを取り、あとは自作ソフト自身の時計で走らせて、時間のズレが積み重ならないかを見る
3. 結果
| 測定項目 | 結果 |
| 試験データが LightJockey 上で問題なく再生できるか | ○ 正常に再生(想定どおりのコマ数・再生速度で表示) |
| 出力される信号の一致率 | 505〜510 / 512 ch(99% 前後)が完全一致。残りはなめらかに変化する部分に限られていました |
| 時刻のズレ(60 秒・ループの継ぎ目を含む) | 0 ミリ秒(すべての計測時点で) |
自走モード 60 秒間の計測: Δt = 0 ミリ秒
最初の一致を取ったあとは自作ソフト自身の時計だけで走らせ、60 秒後・ループをまたいだ後も LightJockey 側の再生位置とぴったり一致しました。今回の計測単位(0.5 秒刻み)の範囲では、ズレは検出されませんでした。
3-1. 60 秒間の実測(15 秒おき)
| 経過 | LightJockey 側 | 自作ソフト側 | ズレ | 信号の一致 |
| 0 秒 | 0:00.50 | 0:00.50 | 0 ms | 506/512 |
| 15 秒 | 0:16.00 | 0:16.00 | 0 ms | 507/512 |
| 30 秒 | 0:31.00 | 0:31.00 | 0 ms | 505/512 |
| 45 秒 | 0:46.50 | 0:46.50 | 0 ms | 507/512 |
| 60 秒 | 0:00.50 | 0:00.50 | 0 ms | 507/512 ← ループを跨いでも 0 ms |
3-2. 検証動画
左右 2 面を並べて実際に同時再生させた様子です。色時計・秒バーが左右でぴったり揃っているのが確認できます。
▶
LightJockey タイムコード同期 検証動画
3-3. 実データでの確認例
試験データだけでなく、実際にお預かりしている本番データでも同じ手法で確認しました。狙いどおりの色・タイミングで最後まで通しで再生できることを確認しています。お客様の実データのため、具体的な内容(現場名・データの中身)は伏せています。
▶
実データでの再生確認(詳細非公開)
4. 試験を通じて見つかったこと
試験を進める中で、実際に突き合わせてみて初めて分かる点が 2 つ見つかり、その場で修正しました。いずれも、実機と突き合わせるという試験方法そのものが効果を発揮した結果です。
1. ファイル形式の仕様書に、実測でしか埋まらない項目が 1 つ残っていました。
これまでの解析では確定できなかった項目があり、今回実機に読み込ませて確認したことで正しい値が判明し、仕様書を修正しました。
2. 「瞬時に切り替える部分」と「なめらかに変化する部分」を、再生側で区別できていない不具合が見つかりました。
通常の番組データでは表面化しない組み合わせでしたが、今回の試験データで再現し、その場で修正しました。以後の回帰テストにも組み込み済みです。
5. この結果の限界(正直な但し書き)
- 今回確認できた精度は 0.5 秒単位です。それより細かいズレ(コンマ何秒単位)は、この試験だけでは分かりません。次回はより細かい単位で確認する予定です。
- 不一致が残った信号(なめらかに変化する部分)について、「変化の仕方そのものが違う」のか「比較したタイミングがずれていただけ」なのかは、まだ切り分けられていません。
- 今回試したのは単純な繰り返し再生のみです。本番でよく使われる「進行表に沿った再生」はまだ対象に含まれていません。
- 今回の試験は特定の 1 系統・512 ch の範囲に限定しています。
6. 次にやること
- より細かい時間単位(0.1 秒刻み)でズレを測り直す
- 「進行表に沿った再生」でも同じ確認を行う — こちらが本命の「DMX レコーダーからの脱却」に直結します
7. 安全性について
- 元のデータファイルへの書き込みは一切行っていません(プログラム側でも書き込みを拒否する仕組みを入れています)。
- LightJockey 側は状態を読み取るだけで、操作や信号送信は行っていません。
- 試験用の信号が実機の照明に出力されることもありません(送信先は常にテスト用の宛先に固定)。