ArtNet Fader Test 取扱説明書

照明卓のフェーダーの代わりに Art-Net(DMX の信号)を送信する試験ツールです。複数チャンネルをまとめて動かしたり、フェーダーを自動で往復させたりして、受信側の機器やソフトの動作を、実物の卓を用意せずに確認できます。
2026 年 9 月 22 日版  /  Windows 10・11(64bit)用  /  一覧に戻る

本書について ―― 必ずお読みください

1. このソフトについて

Art-Net は、照明の制御信号 DMX を LAN(イーサネット / Wi-Fi)に乗せて送る業界標準の規格です。本来はミキサーやプログラマーなどの「照明卓」がこの信号を送り出しますが、卓が手元に無い、あるいは卓を用意するほどでもない簡単な確認をしたいときに、本ソフトが代わりに Art-Net を送信します。受け手側(照明機器そのもの、または LjStudio などの受信ソフト・各種モニターツール)が信号を正しく受け取れているかを、手軽に試験するために作りました。

チャンネルは 1 本ずつだけでなく複数本をまとめて操作でき、指定した範囲を自動で往復させる機能もあります。GUI で行える操作は HTTP API からもすべて行え、GUI と HTTP API は常に同じ状態を共有します。

ArtNetFaderTest 画面
実際の操作画面(IPアドレス等は例示値)
項目内容
動作環境Windows 10 / 11(64bit)
ネットワーク送信先の機器・ソフトと同じ LAN に接続されていること(宛先をループバックのままにする場合は不要)
送信するものArt-Net(既定 UDP ポート 6454。ポートは画面から変更可)/ 1 ユニバース分(512ch)
USB-DMX 出力ENTTEC DMX USB Pro 互換の USB-DMX 機器へ、Art-Net と同時に(あるいは片方だけ)出力可能
照明・機器への影響[開始] を押すまでは何も送信されません。 押した後は、画面に表示されている値がそのまま送信先の機器に反映されます

2. 入手方法

本ソフトは「LightJockey 道具一式 一発インストール手順」でまとめて配布されるツール群の 1 つです。単体配布は行っていません。

1配布フォルダから LjFullVerUP_latest.zip を落とします。
2C:\SetupAll を新しく作り、zip の中身を全部そこへ「すべて展開」します。
3Install-FullVerUP.cmd を右クリック →「管理者として実行」します。
これでスタートメニューに「ArtNetFaderTest」が登録されます。以降はここから起動してください。起動しただけでは何も送信されません(1 章参照)。まずは画面の見方(3 章)から確認してください。

3. 画面の見方

3-1. 上部バナー

ウィンドウの最上段いっぱいに、いま送信中かどうかを色で大きく表示します。ここを見るだけで「出ているか/止まっているか」が一目で分かります(ボタンの色の違いだけに頼らない設計です)。

停止中 -- 1パケットも出していません (次に開始する宛先: 127.0.0.1:6454 Universe=0)
送信中 -> 192.168.0.101:6454 Universe=0 30fps Sent=1234
状態表示
停止中(グレー)次に [開始] を押した場合の宛先・ポート・Universe を表示
送信中(緑)実際の宛先・ポート・Universe・fps・送信済みパケット数を表示
USB-DMX 使用時バナー末尾に USB-DMX: COM5 接続中 Sent=123 のように追記
エラー発生時バナー末尾に [!] エラー内容 を赤字ではなく末尾追記で表示

3-2. 接続バー

宛先 ▼[192.168.0.101 ] Universe[ 0] fps[30] □Broadcast許可 Port[6454] [[開始] 送信開始]
項目内容
宛先送信先の IP アドレス。手入力もできますし、▼ から過去に使った IP(最大 10 件、最近使った順)を選べます。自分の PC の IP は緑色+「★自分」の印が付き、一目で見分けられます(2026-09-22 追加)。
Universe送信する Art-Net のユニバース番号(0〜32767)
fps1 秒あたりの送信回数(1〜44)
Broadcast許可255 で終わる宛先(一斉送信)を送るときだけチェックします。チェックしないと 255 終わりの宛先は拒否されます。
Port送信先の UDP ポート番号(既定 6454)。同じ PC の中に受け手が 2 つ以上あると、127.0.0.1 宛の信号は先に受け取った 1 つにしか届きません。 受け手ごとにポートを変えれば、複数の受信ソフトを同時に試せます。
[開始] 送信開始押すたびに送信の開始/停止を切り替えます。送信中は「[停止] 送信停止」に表示が変わります。

宛先・Universe・fps・Broadcast許可は、送信を開始した後でもその場で変更できます。

3-3. USB-DMX 行

USB-DMX[COM5 ▼][更新] □USB-DMXへも出力
項目内容
USB-DMX(COMポート欄)ENTTEC DMX USB Pro 互換の USB-DMX 機器を挿している COM ポート番号(例 COM5)。手入力も可能です。
更新あとから挿し直した機器を検出し直します。
USB-DMXへも出力チェックすると、Art-Net と同時に(あるいは Art-Net を使わず USB-DMX だけでも)512ch を USB-DMX 機器へ出力します。チェックしただけでは出力されません。 [開始] を押している間だけ実際に出力されます。

3-4. フェーダートラック

同時表示本数[16] [全部0 (ch1-16)] [全部255 (ch1-16)] [BO] Blackout ┌──────────────────────────────────────────────────────┐ │ 0 0 0 0 ...(値) │ │ [|] [|] [|] [|] ...(縦スライダー) │ │ ch1 ch2 ch3 ch4 ...(チャンネル番号) │ └──────────────────────────────────────────────────────┘ ◀■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■▶ ← 横スクロール(表示範囲を移動)
項目内容
同時表示本数画面に並べるフェーダーの本数(1〜512)。実際に並ぶ本数はウィンドウの幅にも左右されます。
フェーダー本体縦のスライダーをマウスでドラッグして 0〜255 を設定します。上に値、下にチャンネル番号(ch1 など)を表示します。
横スクロールバー512ch 全部を並べるのではなく、「窓」を横にずらして見るチャンネル範囲を切り替える方式です(市販の DMX 送出ツールと同じ考え方)。スクロールしても画面外になったチャンネルの値は消えません。
全部0 / 全部255いま画面に表示中のフェーダーだけを一括で 0(消灯)または 255(フル点灯相当)にします。ボタンの文字に対象範囲(例 全部255 (ch190-199))が常に表示され、スクロールするたびに更新されます。512ch 全部が対象ではありません。
[BO] Blackout512ch 全部を 0 にし、稼働中の自動 UP/DOWN もすべて停止します。送信の開始/停止そのものは変えません(送信中なら「全ch0」を送り続けます)。
実機(127.0.0.1 以外の宛先)へ向けて 全部255 を押すと確認ダイアログが出ます。全チャンネルを一括でフル点灯にする操作は、ムービングライトなどのモーターや電球に負荷をかける可能性があるためです。全部0(安全な方向)は確認なしで実行されます。

3-5. 自動 UP/DOWN(フェーダー往復)

自動 UP/DOWN(フェーダー往復) -- 開始/停止・速度・上下限をここから操作 対象ch[1,2,3,4] min[ 0] max[255] 秒/往復[2.0] [[開始] 開始] [[停止] 全停止] □一覧表示 稼働中の自動UP/DOWN ┌────────────────────────────────────────────┐ │ id1: ch1+2+3+4 0->255 2.0s/往復 現在=128 │ [選択を │ │ 停止] └────────────────────────────────────────────┘
項目内容
対象ch自動で動かすチャンネル番号。カンマ区切り(1,2,3,4)や範囲指定(1-8)、その組み合わせ(1-8,12,20-24)で指定できます。同じ欄に指定した複数チャンネルは常に同じ動き(同位相)で往復します(RGBW の 4ch を 1 本のフェーダーとしてまとめて動かす、といった使い方を想定)。
min / max往復させる値の下限・上限(0〜255)。
秒/往復1 往復(上げて下げる)にかかる秒数。数値が小さいほど速く往復します。
[開始] 開始入力した内容で新しい自動 UP/DOWN を 1 つ追加します。複数の組を同時に走らせられます。
[停止] 全停止稼働中の自動 UP/DOWN をすべて停止します。
一覧表示下の「稼働中の自動UP/DOWN」一覧の表示/非表示を切り替えます(常に出しておく必要が無いときに畳めます)。
稼働中の自動UP/DOWN 一覧いま動いている組を、対象ch・上下限・周期・現在値つきで一覧表示します。1 行選んで「選択を停止」を押すと、その組だけを止められます。

4. 使い方

1起動する:スタートメニューの「ArtNetFaderTest」を開きます。この時点ではまだ何も送信されません。
2宛先を決める:接続バーの「宛先」に相手の IP アドレスを入力(または▼から過去のIPを選択)します。同じ PC の中だけで試す場合は既定値の 127.0.0.1 のままで構いません。相手側の受信ポートが 6454 以外の場合は「Port」も合わせます。
3Universe・fps を確認する:相手側が受信する Universe 番号に合わせます。fps は既定の 30 のままで通常問題ありません。
4[開始] 送信開始 を押す:ここで初めて Art-Net の送信が始まります。上部バナーが緑色の「送信中」に変わります。
5フェーダーを動かす:中央のスライダーをドラッグして値を変えます。横スクロールで別のチャンネル範囲へ移動できます。
6必要なら自動 UP/DOWN を使う:対象ch・上下限・速度を指定して[開始] 開始を押すと、手を離してもフェーダーが自動で往復し続けます。
7終わったら [停止] を押す:送信を止めます(値そのものは消えません)。ウィンドウを閉じると設定と現在のフェーダー値は保存され、次回起動時に復元されますが、送信中かどうかは保存されません。次に開いたときは必ず「停止中」から始まります。

4-1. HTTP API(AI・自動化スクリプトからの操作)

GUI を一切使わず、HTTP でも全操作ができます。既定ポートは 55557 です。GET /status で現在の状態(送信中か・宛先・Universe・fps・先頭 16ch の値・自動UP/DOWN一覧)が確認できます。

メソッドパス内容
GET/status現在の状態一覧を取得
POST/start / /stop送信の開始/停止
POST/dest?ip=&port=&universe=&fps=&allowBroadcast=0|1宛先/ポート/Universe/fps を設定(指定した項目だけ変更)
POST/usbdmx?port=COM5&enabled=0|1USB-DMX の出力先ポート/使用可否を設定
POST/set?ch=1,2,3,4&val=200,150,80,255複数ch同時設定。範囲指定 ch=1-8&val=255 も可
POST/set_all?val=0512ch 全部を同じ値に
POST/blackout全ch 0 + 自動UP/DOWN全停止(送信の on/off 自体は変えない)
POST/automove/start?ch=1,2,3,4&min=0&max=255&period=4自動UP/DOWN開始(period=1往復の秒数)
POST/automove/stop[?id=|?ch=]個別停止(id または ch 指定)/無指定で全停止
GET/automove/list自動UP/DOWN一覧(現在値つき)
curl -X POST -d "" "http://127.0.0.1:55557/dest?ip=127.0.0.1&universe=0&fps=30"
curl -X POST -d "" "http://127.0.0.1:55557/set?ch=1,2,3,4&val=255,128,0,64"
curl -X POST -d "" "http://127.0.0.1:55557/start"
curl "http://127.0.0.1:55557/status"
curl -X POST -d "" "http://127.0.0.1:55557/stop"

POST は本文が空でも -d "" を付けてください(付けないと 411 Length Required になります)。

5. 困ったときは

Q. [開始] を押しても、受け手側で何も反応しません
次の順で確認してください。
  1. 上部バナーが「送信中」(緑)になっているか確認します。宛先・ポートが正しいかもバナーに表示されています。
  2. 宛先の IP アドレスが受け手側の IP と一致しているか確認します。既定値の 127.0.0.1 のままだと、別の PC には届きません。
  3. Universe 番号が受け手側の設定と一致しているか確認します。
  4. 同じ PC の中に Art-Net の受け手が 2 つ以上ある場合、127.0.0.1 宛の信号は先に受け取った 1 つにしか届きません。「Port」を受け手ごとに分けて、それぞれの受信ソフト側の待受ポートに合わせてください。
  5. 実機の機器へ送る場合は、送信元・受信側が同じ LAN・同じサブネットに接続されているか確認します。
Q. ブロードキャスト(255 で終わる宛先)に送りたいのにエラーになります
接続バーの「Broadcast許可」にチェックを入れてください。チェックが無いと、現場の他の機材まで巻き込んでしまう事故を防ぐため、255 終わりの宛先は既定で拒否されます。
Q. 「全部255」を押したら確認ダイアログが出ました
宛先がループバック(127.0.0.1)以外のときだけ出る確認です。全チャンネルの一括フル点灯は、ムービングライトなどのモーターや電球に負荷をかける可能性があるための安全策です。問題なければ「はい」を選んでください。
Q. 宛先コンボの候補に緑色の IP が出ています。これは何ですか
お使いの PC 自身の IP アドレスです(2026-09-22 追加)。緑色+「★自分」の印が付いているので、他の機器の IP と混同せずに選べます。同じ LAN 上の別の機器へ向けて試す前に、まず自分の IP へ向けて動作確認したいときの目印としても使えます。
Q. 自動 UP/DOWN を 1 つだけ止めたいです
「稼働中の自動UP/DOWN」一覧(一覧表示にチェックが必要です)で対象の行を選び、「選択を停止」を押してください。全部止めたいときは「[停止] 全停止」または [BO] Blackout を使います。
Q. USB-DMX 機器にも同時に出したいです
USB-DMX 行で COM ポートを選び(挿し直した場合は「更新」)、「USB-DMXへも出力」にチェックを入れます。実際に出力されるのは、Art-Net と同じく [開始] を押している間だけです。チェックしただけでは出力されません。
Q. ウィンドウを閉じてもう一度開いたら、フェーダーの値は残っていましたが送信は止まっていました
これは仕様です。宛先・Universe・fps・フェーダーの値・自動UP/DOWNの入力欄は保存され次回に復元されますが、「送信中かどうか」だけは絶対に保存しません。他の機材が接続された現場で、起動しただけで信号が出てしまう事故を防ぐためです。
Q. AI やスクリプトから操作できますか
できます。GUI を一切使わず、HTTP API(既定 http://127.0.0.1:55557/)だけで全操作が完結します(4-1 参照)。また現在の状態は e:\tmp\ai_fadertest\latest.txt / status.json にも自動で書き出されます。

6. 技術メモ(詳しい方向け)

プロトコルArt-Net(UDP、既定ポート 6454。送信先ポートは画面から変更可)/ 1 ユニバース=512ch
USB-DMXENTTEC DMX USB Pro 互換シリアル出力。専用ライタースレッドで送るため、USB 未接続や無応答でも Art-Net 側の送信は止まらない
自動 UP/DOWN の波形三角波(min→max→min を直線的に往復)。同じ組に入れたチャンネルは常に同位相
送信の on/offプロセス内メモリのみで保持。config.json には一切保存しない(起動直後は必ず「停止中」)
設定ファイル実行フォルダの config.json(宛先・Universe・fps・宛先IP履歴・フェーダー512ch分の値・自動UP/DOWNの入力欄・USB-DMX設定・ウィンドウ位置サイズ等)
HTTP API既定ポート 55557。127.0.0.1 にのみ bind(外部公開なし)
AI向け状態出力e:\tmp\ai_fadertest\latest.txt / status.json / README_AI.txt(約1秒おきに更新)
ビルド日時タイトルバーに表示(例:ArtNet Fader Test (26 09/22 14:30))
ArtNet Fader Test 取扱説明書 ―― 2026 年 9 月 22 日版
画面例・手順は Windows 11(64bit)で確認しています。ご不明な点は配布元までお問い合わせください。

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