取扱説明(限定スタッフ向け) / 2026-10-07 / 担当: tool_cs(LightJockey 系)

USB-DMX-PRO S3 の使い方
ESP32-S3 製の ENTTEC DMX USB Pro 互換機 — Windows と Linux での立ち上げ方・確かめ方・DMX ch 表

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USB-DMX-PRO S3 は、パソコンの USB に挿して DMX512 を 1 ユニバース(512ch)出し入れする小さな機器です。 ENTTEC 社の DMX USB Pro と同じ手順(命令)で話すので、ENTTEC Pro に対応したソフトからそのまま使えます。 この頁は、Windows と Linux での立ち上げ方と、2026-10-07 に Linux の再生機で実際に動かして確かめた結果をまとめたものです。

1. この機器でできること

項目内容
DMX 出力1 ユニバース(512ch)。出力の速さは 1〜40 回/秒(既定 30 回/秒。ファーム 2.5 以降で変更可。電源を入れ直すと既定に戻る)
DMX 入力1 ユニバース。出力と同時に受けられる(ファーム 2.4 以降。本物の ENTTEC Pro は受信に入ると出力が止まる)
パソコンからの見え方USB のシリアル(COM)として見える。Windows では COMxx、Linux では /dev/ttyACM0 など
対応する命令ENTTEC Pro の Label 3(設定の読み出し)・4(設定)・5(受信データ)・6(送信データ)・8(受信の依頼)・10(製造番号)。社内用の追加命令(版・能力・波形の調整)あり
使えるソフト(社内)LjStudio(Windows)、LjTouch・LjRun(Linux 再生機)、DmxUsbProMonitorM5・DmxUsbProIF(確認用)
できないことRDM は非対応。本体に状態を示すランプはない(下の「7. できないこと・注意」)

ファームの版と違い

版日付主な違い
2.3—出力と入力はどちらか一方だけ(送信を始めると受信が止まる)
2.42026-10-03出力と入力を同時に使える。出力は約 30 回/秒で固定
2.52026-10-04出力の速さを 1〜40 回/秒で変えられる
2.62026-10-06BREAK を規格どおり(100µs)に直した。2.5 までは BREAK が約 88µs で、規格の下限 92µs にわずかに足りない

版はソフトの「状態」欄(LjStudio の USB Pro 設定・DmxUsbProMonitorM5 など)で見られます。今回 Linux で確かめた個体は 2.5 でした。

2. つなぐ前に

3. Windows で使う

3-1. 挿して COM 番号を確かめる

  1. USB に挿します。Windows 10 / 11 では追加のドライバー無しで COM ポートとして出ます(社内の i8 で COM61・COM86 などとして常用)。
  2. デバイス マネージャー →「ポート(COM と LPT)」で、挿したときに増えた USB シリアル デバイス (COMxx) の番号を控えます。
  3. 何台もあって見分けがつかないときは ComPortScanner、または DmxUsbProIF の Device 一覧で接続して版を確かめます。

3-2. LjStudio から出す

  1. 設定の DMX Hardware タブの下にある USB Pro を開きます。
  2. 出力 1 の行で ポート に控えた COM を選び、リンク(どのユニバースを出すか。リンク 1 = 最初のユニバース)を選びます。
  3. USB へ出す を入れます。「状態」欄に 接続中・FW の版・送った数 が出れば出ています。
  4. DMX を受けるときは入力の行で同じポートを選び USB から受ける と 出力と同時 を入れます(この機器は同時に使えます)。
  5. 出力の速さはファーム 2.5 以降なら「変更」ボタンで変えられます。設定は次の起動にも残ります。

3-3. 値を見て確かめる

DmxUsbProMonitorM5 で COM を選んで接続すると、IN に来ている 512ch の値が見えます。折り返しにしておけば、LjStudio が出した値がそのまま映ります。 ただし LjStudio が掴んでいる COM は他のソフトから開けません。LjStudio の「USB から受ける」で入力として見るか、DmxUsbProMonitorM5 の並行監視(共有メモリ方式)を使います。

3-4. うまくいかないとき(Windows)

症状見るところ
ポートを開けない別のソフトが同じ COM を掴んでいないか。DmxUsbProMonitorM5 は「使用中」と表示する
開けたのに出ない「開けた」だけでは使えると限らない。ソフトの送った数・失敗の数を見る。USB を挿し直す
COM の番号が変わった挿す口を変えると番号が変わることがある。デバイス マネージャーで確かめてポートを選び直す

4. Linux で使う

確認した機体: PIPO(Ubuntu 24.04.5 LTS、カーネル 6.8)。追加のドライバーは要りません(カーネル標準の cdc_acm が受け持つ)。

4-1. 挿して名前を確かめる

ls -l /dev/serial/by-id/
# usb-Espressif_USB_JTAG_serial_debug_unit_<MAC>-if00 -> ../../ttyACM0
lsusb | grep 303a
# ID 303a:1001 Espressif USB JTAG/serial debug unit

ttyACM0 の番号は挿す順で変わることがあります。ソフトに名前を渡すときは /dev/serial/by-id/... の名前のほうが確実です(番号は機体ごとに違う。例: 内蔵 LTE モデムが ttyUSB0〜3 を取る機体もある)。

4-2. 使う人に権限を付ける(最初の 1 回)

sudo usermod -aG dialout $USER     # 付けたら一度ログアウトして入り直す
id                                   # groups に dialout が出ればよい

4-3. ModemManager に横取りさせない(推奨・最初の 1 回)

Ubuntu では ModemManager が新しいシリアル機器を「モデムかも」と思って数秒開き、命令を投げ込むことがあります。「挿した直後に開けない」「たまに出ない」の原因になるので、社内の udev ルールを入れておきます。

sudo cp lj-dmxusb-udev.rules /etc/udev/rules.d/99-lj-dmxusb.rules
sudo udevadm control --reload-rules && sudo udevadm trigger
ls -l /dev/dmxusb-cdc                # -> ttyACM0 になればよい

このルールは ModemManager に無視させ、dialout で開けるようにし、/dev/dmxusb-cdc という決まった名前も付けます(ルールのファイルは LightJockey の tools/lj-dmxusb-udev.rules)。2 台以上挿すと決まった名前が取り合いになるので、そのときは by-id の名前を使います。

4-4. LjTouch(タッチパネルの再生機)から出す

~/ljtouch/ljtouch_start.sh            # 既定で USB-DMX へ出す(--usbdmx auto)
LJTOUCH_USBDMX=/dev/ttyACM0 ~/ljtouch/ljtouch_start.sh   # 口を名指しするとき
LJTOUCH_USBDMX=off ~/ljtouch/ljtouch_start.sh            # 出さないとき
今の版の注意(2026-10-07 時点・直す予定)

4-5. LjRun(コマンドの再生機)から出す

LjRun ... --dmx-usb /dev/serial/by-id/usb-Espressif_USB_JTAG_serial_debug_unit_<MAC>-if00

5. 動作確認(2026-10-07・Linux 再生機 PIPO・折り返し)

OUT と IN を DMX ケーブルでつないだ「折り返し」で、2 段に分けて確かめました。

段やったこと結果
① 機器だけ決まった値(ch1〜7 = 1,2,3,4,5,128,255 と 170,85,17,0,34,51,68)を送り、IN に戻った値を読む2 通りとも一致。512ch・受信エラー 0。版 2.5、製造番号の応答あり
② LjTouch からLjTouch で Cue ボタンを押してショーを再生し、送った数と IN に戻った値を見る送信 530 本・失敗 0。IN に 79ch 分の値が戻った(ch11=199、ch12=27、ch20〜22=255 など)。下の ch 表の器具の範囲と合う

折り返しで値を読むときは、LjTouch を止めてから読みます(口を開けるのは 1 つのソフトだけ。止めても機器は最後の値を出し続けます)。

6. DMX ch 表(試験に使ったショーのパッチ)

動作確認で再生したショーの、器具と DMX ch の割り当てです(ユニバース 1)。表計算で使える CSV も付けています: DMX_ch表_試験ショー.csv(1ch = 1 行)・DMX_器具一覧_試験ショー.csv(1 台 = 1 行)。

6-1. 器具一覧

器具番号器具名種類先頭 ch末尾 chch 数
1REIN ZLGeneric DMX Dimmer 2 Channel11122
3V-SHOW 718ユーザー定義133523
4V-SHOW R74ユーザー定義365823
8ek MOVユーザー定義59679
14ST LEDユーザー定義677610
15ST LEDユーザー定義778610
12USER2ユーザー定義87948
5SWINGユーザー定義1081136
6SWINGユーザー定義1141196
11USER2ユーザー定義12113010
16DOT PARユーザー定義20121010
7mb spotユーザー定義30131010
9BG Lユーザー定義50151010

使っている ch は 13 台で計 136ch。ch67 は 2 台(ek MOV の末尾と ST LED の先頭)が重なっています(ショー側の割り当てどおり。表では色を付けています)。

6-2. ch ごとの表

「機能」はショーの器具定義に書かれた ch 名です。名前が付いていない ch は空欄です。

DMX ch器具番号器具名器具内 ch機能
111REIN ZL1
121REIN ZL2
133V-SHOW 7181PAN
143V-SHOW 7182
153V-SHOW 7183TILT
163V-SHOW 7184
173V-SHOW 7185P/TS
183V-SHOW 7186ZOOM
193V-SHOW 7187ROT
203V-SHOW 7188DIM
213V-SHOW 7189SHI
223V-SHOW 71810R
233V-SHOW 71811G
243V-SHOW 71812B
253V-SHOW 71813W
263V-SHOW 71814CT
273V-SHOW 71815WASH
283V-SHOW 71816STAC
293V-SHOW 71817DYN
303V-SHOW 71818DYN S
313V-SHOW 71819BR
323V-SHOW 71820BG
333V-SHOW 71821BB
343V-SHOW 71822BW
353V-SHOW 71823RSET
364V-SHOW R741PAN
374V-SHOW R742
384V-SHOW R743TILT
394V-SHOW R744
404V-SHOW R745P/TS
414V-SHOW R746ZOOM
424V-SHOW R747ROT
434V-SHOW R748DIM
444V-SHOW R749SHI
454V-SHOW R7410R
464V-SHOW R7411G
474V-SHOW R7412B
484V-SHOW R7413W
494V-SHOW R7414CT
504V-SHOW R7415WASH
514V-SHOW R7416STAC
524V-SHOW R7417DYN
534V-SHOW R7418DYN S
544V-SHOW R7419BR
554V-SHOW R7420BG
564V-SHOW R7421BB
574V-SHOW R7422BW
584V-SHOW R7423RSET
598ek MOV1
608ek MOV2
618ek MOV3
628ek MOV4
638ek MOV5
648ek MOV6
658ek MOV7
668ek MOV8
6714ST LED1
678ek MOV9
6814ST LED2
6914ST LED3
7014ST LED4
7114ST LED5
7214ST LED6
7314ST LED7
7414ST LED8
7514ST LED9
7614ST LED10
7715ST LED1
7815ST LED2
7915ST LED3
8015ST LED4
8115ST LED5
8215ST LED6
8315ST LED7
8415ST LED8
8515ST LED9
8615ST LED10
8712USER21R
8812USER22G
8912USER23B
9012USER24AM
9112USER25SH
9212USER26DIM
9312USER27
9412USER28
1085SWING1POS
1095SWING2
1105SWING3SWING
1115SWING4
1125SWING5
1135SWING6DIM
1146SWING1POS
1156SWING2
1166SWING3SWING
1176SWING4
1186SWING5
1196SWING6DIM
12111USER21L1
12211USER22L2
12311USER23L3
12411USER24L4
12511USER25L5
12611USER26L6
12711USER27DIM
12811USER28STO
12911USER29AUTO
13011USER210MSIC
20116DOT PAR1
20216DOT PAR2
20316DOT PAR3
20416DOT PAR4
20516DOT PAR5
20616DOT PAR6
20716DOT PAR7
20816DOT PAR8
20916DOT PAR9
21016DOT PAR10
3017mb spot1
3027mb spot2
3037mb spot3
3047mb spot4
3057mb spot5
3067mb spot6
3077mb spot7
3087mb spot8
3097mb spot9
3107mb spot10
5019BG L1
5029BG L2
5039BG L3
5049BG L4
5059BG L5
5069BG L6
5079BG L7
5089BG L8
5099BG L9
5109BG L10

7. できないこと・注意

根拠: ファーム仕様書 USB_DMX_PRO_独自拡張仕様.md / CHANGELOG、LjStudio ヘルプ(USB Pro 設定)、LjTouch のソース(Program.cs)、lj-dmxusb-udev.rules、2026-10-07 の PIPO 実測。